セビージャの基本的なビルドアップは両CBのパレハ+カリーソ+SB1枚がメイン。CBからのロングボールやSBやクリホヴィアクを使って相手陣地に侵入していくものだ。しかし、トップ下のバネガがピボーテの位置まで落ちることでボール回しの中心になる形も多い。この形を“バネガ落とし"と呼称する。

相手チームの出足や重心によるが、試合が落ち着いた時、ボール保持のテンポをコントロールしたい時、アクセントを加えたい時に起こることが多いように感じる。勿論、相手のプレッシングが前から激しいものであれば、それは例外であるが。

クリホヴィアクはそのサポート兼ファーストディフェンダーに徹するようにして、もう1枚のピボーテのイボーラは代わりに前に上がる。

また、サイドハーフとしてレジェスが起用されていれば、バネガと共にボールを受けるために落ちる(バネガが落ちた後にレジェスがトップ下の選手のように振る舞うパターンも)。そして、2枚のCB+バネガ+レジェスで後方から組み立てる。SBは当然高い位置まで上がる。そこから、デウロフェウやビダルやビトロといったサイドのアタッカー陣のドリブルするスペースを作ったり、または迎撃に出てきた相手SBの裏へ走らせるようなボールを出したりする。

デランテーロ(FW)のファーストチョイスでもあるバッカに関しては、中盤に落ちてボールを受ける壁になること、ロングボールのターゲットマン、サイドに流れてサイドアタックを仕掛けようとするビダルなどをサポートすることでサイドの厚みを作る(エムビアが居れば、ボックス内に侵入する形。しかし、レアル・ソシエダ戦ではボックス内不在の場面も)、裏抜け、前線に張りっぱなし、といったように万能さ故にタスクは多いが、その日のエメリが選んだオプションによって異なるため全部を一度にこなすということは少ない印象を受ける。