イボーラのトップ下起用、その意味とは

その前線のバッカのタスクを整理するにあたって大きな意味を持ったのが、エメリの奇策とも言われた“イボーラのトップ下起用"である。

今季は第18節のアルメリア戦からピボーテとしてフル出場が続いていたイボーラだが、第16節のレアル・マドリー戦(マドリーのクラブW杯の影響のため延期していた)においてトップ下で出場。元ストライカーでもあるイボーラをトップ下で使った奇策はゴールに迫るシーンもあったが、それでもマドリー相手に屈した(2-1で敗戦)。

その後、第22節ヘタフェ戦でも同様にイボーラをトップ下で起用。彼をターゲットとしたロングボール戦術で攻撃を繰り返すも、結果は2-1で敗戦。その後、イボーラはサスペンションや怪我人事情の影響もあって再びピボーテ起用に戻ることになった。

ここで、イボーラのトップ下起用について考えたい。

エメリは結果が出ない事で諦めたのか、それともピボーテ事情によるものなのかは現時点では判然としないが、意味のあったチャレンジだったと筆者は思う。

イボーラのトップ下起用のメリットは、なによりも長身を活かしたターゲットマンになれるということである。それはセビージャ側のGKにおいても相手陣地内でボールを収められるという点に尽きる。ターゲットマンという役割、そこにプラスアルファとして得点感覚を取り戻すという意味合いもあったのではないかと考える。

相手ゴールに2番目に近いトップ下というポジション。ボックス内に入る動きやそのタイミング、また相手が最も密集するバイタルエリア付近への侵入、そしてマークを背負ったままのボールの受け方や適切なポジショニング感覚を磨くためのものではと思うのだ。

現にピボーテに戻ったイボーラは、第23節のコルドバ戦でゴールという結果(3-0で勝利)を出している。確かに結果だけを見れば、CL出場権争いの中で大きな2連敗である。しかし、イボーラのポジショニングやエムビアの不在を考慮すると、確かなボックス内へ侵入する上下動をエメリは身に付けさせたかったのではないか思ってしまう。