その論拠として、“バネガ落とし"が関わってくる。
ボール循環の一環としてトップ下のバネガを落とす。そして、ピボーテのイボーラをトップ下に上げるサイクルは、ボールの位置や相手のラインや相手のプレッシングの状況と言ったタイミングに左右されるオプションである。
相手が完全に自陣撤退した際に、組み立ててサイドからえぐるクロス、或いはボックス付近にポジショニングしている“トップ下"のイボーラにボールを当てる。また、乱戦状態を作るために早いタイミングでCBからイボーラにロングボールを上げるといった手もある。そういったように細かなパスワークのみではなく、ロングボールも使い分けることで相手ディフェンダー陣に的を絞らないことが可能になる。
相手よりもボールを多く保持する頻度は、セビージャというチームは多い。リーガでは現在(執筆時)、5番目に多い数字を出している。それは当然、エメリという監督が斬新な守備戦術で名を轟かせたのと同時に、チームの特性や選手のプレースタイルを考慮して攻撃的なチームを作るためである。
攻撃の主役はボールだ。上記のような数値が出ているのは、ボールプレーを中心にしていることや積極的なプレッシングの賜だろう。
そのボールプレーの中で欠かせない存在感を放っているのがバネガであり、“バネガ落とし"というオプションだ。
次章では、実際の試合のおける場面から“バネガ落とし"について詳しく迫ってみる。
筆者名:古家政夫
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初めてフットボールに触れたのは98年仏W杯から。Jリーグ、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラを中心に観戦する日々を送る。最後まで読んで頂けるような文章を書けたらな、とその道を模索中。
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