◆グレイザー家とエド・ウッドワード
オーナーであるグレイザー家ですが、クラブ買収時に「レバレッジド・バイアウト(LBO)」という方法で買収したために、多額の負債をユナイテッドに押し付け、何をするにも非難されています。
買収以前は負債のない超優良企業だったので当然といえば当然ですが、LBOされる企業の特徴をモロに満たしていたので狙われて当然とも言えます。買収後もファーガソンの力あって、クラブのタイトルは増え続け、補強資金が急激に制限されたこともありません。表向きには物言わぬオーナーであり、クラブは着実に世界的人気を固めつつ、多額の負債は抱えたものの順調に返済しています。
よく批判されますが、グレイザー無くしてこれまでの大口の米企業のスポンサー獲得などが上手く行ったかどうかはわかりません。
また負債に関してはサブプライムローンが重なったことや、買収そのものに関してはロックオブジブラルタル騒動もあって、間接的に買収を加速させた責任がファーガソンにないとも言えません。「金の成る木」であったユナイテッドが目をつけられたことは間違いないのですが、クラブの価値を高めなければ、オーナーの懐にもお金は入らないので、寄生虫としてだらけているわけにもいきません。
現在もオーナーであるタンパベイ・バッカニアーズの低迷を無視するわけではないのですが、買収から初のスーパーボウル制覇に向けてまでは非常に精力的に活動していたことを忘れられています。
こうしたタラレバを言い出せばキリはありませんが、少なくともピッチ外では新規スポンサーを順調に増やしていますし、ピッチに大きな影響がある様子も伺えないので、彼らがクラブの価値を金銭的に下げたとは断言出来ないでしょう(ファーガソンやデイヴィッド・ギルらが「オーナーから補強資金制限があった。」というコメントでもあれば別ですが)。
一昨年、エド・ウッドワードがCEOに就任してから、新規スポンサーが増え続けています。(※マンチェスター・ユナイテッドのスポンサー、一覧)
選手獲得の交渉においては前CEOのデイヴィッド・ギルほどの実績も経験もないのでネタにされがちですが、スポンサー獲得においては非常に優秀であると評価があります。もっとも、サポーターらにとってはピッチ内に直接貢献する動きが欲しいので、目立つ場所が違うと言われてしまえばそれまでなのですが、こちらが欠けてもいけません。
チェルシーやシティらの資金力を持つオーナーの参入により、資金と競争が過酷になったプレミアで勝ち続けることは以前よりも困難になっています。
ピッチで成果を出すためのチャレンジはし続けなければなりませんが、そう簡単に上手く行くものでもありません。一方で資金・経営面の成長を怠っては国内のみならず国外との競争にも勝てなくなってしまいます。ファーガソン依存からの脱却を図りつつ、国内外での競争に勝つためには多額の資金が必要であり、その点に関しては近年積極的に動いていると言えます。