では、特に有名な各指揮官の特性について図を用いて考えていきたい。

まずは、現在マンチェスター・ユナイテッドを率いるルイ・ファン・ハールだ。

現実主義で知られる特異なオランダ人指揮官は、AZでのアシスタントコーチにその源流を持つ。アヤックスでの指揮経験の後、バルセロナへ。バルセロナ時代に、ボビー・ロブソンがゼネラルマネージャーとして在籍していたため、系統と言えば彼を「師」とした時期があると考えても良いだろう。

しかし、ヨハン・クライフとの数えきれないほどの対立が示唆するように、「攻撃的で美を追求するフットボール」とは異なったスタイルを得意とする指揮官である。

とはいえ、源流がオランダにあることもあり、ポゼッション自体の知識もしっかりと持っており、良く言えば現代的で柔軟な指揮官と言えるかもしれない。支配的とも表現されるマネジメント術については、人から受け継いだものというより生来の性格に関わるものだと考えた方が良さそうだ。

イングランド人指揮官、ボビー・ロブソンはチームマネジメントに優れ、アタッカーの個人能力を生かすことに長けていた。

「私の戦術はロナウドだ」という有名な発言が指し示すように、彼はチームの中心選手を最大限に活用することを重要視するタイプだったのである。前述したように、彼はファン・ハールの上司という形で1年間を共に過ごしたが、彼にはそれ以上に関係性が深い愛弟子が2人いる。

1人はボビー・ロブソンがポルト在任時に通訳を務め、そのまま彼の右腕となったジョゼ・モウリーニョ

もう1人が、直接ボビー・ロブソンにチームの戦術的弱みを手紙で指摘し、自分を売り込んだとされるアンドレ・ヴィラス・ボアスだ。

ヴィラス・ボアスがトッテナム時代、ギャレス・ベイル中心にチームを作り上げたことからはボビー・ロブソンの影響を垣間見ることが出来る。

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