運営やファンとのコミュニケーションの“裏側”

――FiNANCiEには2021年9月6日現在、サッカークラブだけで11チームが参加しています。チーム数が増え、様々な蓄積とともにFiNANCiEと各チームのコミュニケーション内容も当初から変わってきた部分があるのではないかと思います。

田中:仰る通りで、まさにSHIBUYA CITYさんは新しいことをどんどん提案してくれるチームです。うまくいったケースもあればあまりうまくいかなかったものもありますが、それらがすべて僕らにとってのノウハウになっていくので、プラットフォーム側としてのナレッジは着実にたまってきています。

小泉:僕らが最初に200万トークンを売り出した時はあまり話題になったわけではありませんでした。売り出しから1ヶ月が経ち、2次流通が始まってから購入してくださる方が増え、単価が爆発的に上がって色々と波及した部分があります。

2次流通が始まって2,3か月が経ち、トークンの本質的な価値は、それを保有している方にサッカークラブの“楽しさ”を感じていただくことが一番重要だと思っています。トークンホルダーにクラブの決定事項についてFiNANCiEの投票機能を使って意見を聞きながら運営を進めるとか、トークンホルダー限定のイベントを企画しているのでそこでの専用コンテンツを用意するなど。

トークンを保有する価値を上げていけば自然とファンやトークンを持つ方が増え、結果的に単価も上がっていくことが見込めるのではないかと考えています。

四方:鎌倉インテルは今年はじめにクラウドファンディングを行ったのですが、その時に値段をどう設定するか悩みました。

1人当たりの単価を「30,000円」とした場合、高いと感じる一方で僕の仲間たちから火をつけていくことを考えると、「10,000円」を払える方は「30,000円」も払える方が多いのではないかと。A/Bテストをできるものではないので効果は分からないのですが、高単価に設定したことは結果として功を奏したのではないかと思っています。

そうした経験があり、FiNANCiEにおいても他のチームは「10,000円」「30,000円」「50,000円」といった価格設定が多かったですが、僕らは価格を「30,000円」からに設定しました。

FiNANCiE運営スタッフに指摘をされつつそこは押し通した部分があったのですが、始めてみるとやはりハードルが高かったのかなと感じています。最初から単価を上げるより、ハードルを下げ、まずは仲間になってもらってエンゲージメントを高めてからグッズやチケットを購入してもらう。そのほうが長い目で考えても良いのではないかと思うようになりました。

そこで、若い世代でもある所属選手たちの友達なども購入しやすい点を考慮し、逆に「5,000円」のメニューを後から作りました。その辺りはFiNANCiEともやり取りをしながら進めていて、FiNANCiEを通して良い事例を他の方々と共有する形になっていますね。

あと、僕らの場合は今、鎌倉に自前のスタジアムを作っているので、今後はこれと連動した企画も考えていきたいです。まさに現在作っている最中なので、トークンを持っている方限定で工事の建設経過を実際に見ることができたり、専用シートなどを作ったりなど。自前のスタジアムだからこその特典を用意していきたいと思っています。

※鎌倉市初、誰でも利用できる人工芝のグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」はまもなく完成予定。その名の通り、ネーミングライツスポンサーはあの「鳩サブレー」!