攻撃サッカーが蘇ったG大阪に新たな時代が到来

ポヤトス監督は普段のトレーニングにおいて、ビルドアップでのボールの動かし方や攻撃の仕掛け方、守備の構築など、課題に対する解決策を提示するものの、それを「手段の1つ」だと言い、「絶対ではないし、正解だと思わなくて良い」と指導している。

また、選手たちのアイデアを採り入れたり、選手たちの自信に対してアプローチしながらチーム作りを行っている。

G大阪は2002年から2011年まで指揮を執った西野朗監督時代に、攻撃的なサッカーを全面に打ち出して最初の黄金期を迎えた。当時のチームに所属していたMF寺田紳一(FCティアモ枚方コーチ)とFW川西翔太(カマタマーレ讃岐)に話を聞く機会があり、「特別なチームでした」という当時のトレーニング時のエピソードを話してくれたのを思い出す。

よく西野監督が設定したトレーニングメニューに対して、MF遠藤保仁(現ジュビロ磐田)が異なった解釈をするのだ。「これでもいけるんじゃない?」と監督の意図にアクセントをつけて提案するのだが、それを西野監督は許容する。これを他クラブでやってしまうと、逆に監督や他の選手からの信頼を失うことがあるそうだ。

「プレーヤーズ・ファースト」で指導にあたる西野監督らしいエピソードだが、遠藤の提案から派生し、選手達がアイデアを積み重ねて主体的にプレーするチームはワクワクするもので、この辺りが「特別なチーム」のカラクリだったのだろう。

ポヤトス監督体制のG大阪は、以前より主力選手の顔ぶれが変わり、より組織的で、現代サッカーの流れにある型へとアップデートされているが、近年全く見られなかった“ガンバらしさ”が溢れている。

今季のチームにクラブの表看板である攻撃サッカーが蘇った背景には、こうした黄金時代に似たトレーニングの進め方があるのではないかと感じる。

どうやら新たな時代の幕が開いたようだ。