――コンバートされるにあたって参考にしていた選手はいますか?

「レアル・マドリーでプレーしていたマルセロ選手(元ブラジル代表/現フルミネンセ)ですね。シンプルに技術的に上手く、よくプレー集も観ていました。

そして、ジョルディ・アルバ選手(元スペイン代表/インテル・マイアミ)ですね。フリーランで裏をとる、ワンツーで出ていく、ワンツーをされたら戻って来るなど、走り出すタイミングが凄く上手な選手なので参考にしています。

新潟戦のゴールもまさしく、バルセロナ時代から続くリオネル・メッシ選手(アルゼンチン代表/インテル・マイアミ)とアルバ選手のホットラインのように、裏にボールを落としてもらう形でしたしね。

実はダニからも、『圭介はジョルディ・アルバになれるよ』と言ってもらっているので、最近はアルバ選手のプレーを見ることが多くなっています」

相手がどんなチームであれ、SBはボールの奪いどころとして狙われ、最も強いプレスを受けることが多いが、黒川は闇雲に蹴り出したりはしない。持ち前のキープ力の高さと視野の広さを活かして的確にビルドアップし、組み立てから崩しの局面へと直接関わっていく。

――第23節の横浜F・マリノス戦で1-1の同点となるゴールの起点となった縦パス(上記)は、視野が広い黒川選手の真骨頂だと思います。いつもどこを見ているのですか?

「なるべく遠くを見るようにしています。遠くを見ることによって、近くも視野に入ってきます。“間接視野”と呼ぶのですが、僕はそれがよく見えるんです。

マリノス戦の縦パスも、僕は左に流れていたMFダワン選手からボールを受けたので、最初は大きなスペースが拡がっている逆サイドに展開しようと、右SBの選手を見ていました。それがチームとしての狙いであり、セオリーです。

でも、僕がボールを受けようとした瞬間、間接視野で山本選手が斜めに動き出してマークを外しているのが見えたんです。そこで僕は逆サイドに蹴るフリをして、縦にクサビのパスを刺し込みました。

縦方向の場合は1トップを見ることによって、トップ下やボランチの選手も視界に入ってきます。遠くを見れば自然と近くも見えてくる、というのが僕の考え方です」

――MF遠藤保仁選手も視野の確保の仕方に「間接視野」を挙げられていましたよ!

「え?本当ですか?それはめちゃくちゃ嬉しいですね!」

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――それでは最後に今季の目標を教えてください。

「シーズン前に個人としての目標は、ゴールとアシストを足して『10ポイント』と掲げました。今、2ゴール2アシストなので、(残り9試合で)あと6点に絡めるように、常に積極的なプレーを心掛けていきたいと思います。

チームとしてはベスト8に進出しているルヴァン杯もありますし、リーグでは1つでも上の順位に上げていくことが目標になります。連勝や無敗が続くようになってきたことで自信ももてましたし、そういう意味ではメンタルの重要性を感じるシーズンになっています。

結果を出すことによって自分達のサッカーを確立し、また新たな引き出しも披露していきたいと考えています」

――まだまだ新しいガンバが見れるということですね。非常に楽しみです。本日はありがとうございます。

写真提供:ガンバ大阪

[プロフィール]黒川 圭介(くろかわ けいすけ)

1997年4月13日生(26歳)兵庫県明石市出身 173cm/70kg

2018年12月、大学3回生ながらガンバ大阪への加入が内定。翌2019年は特別指定選手として4月のルヴァン杯・ジュビロ磐田戦で公式戦デビューし、アシストも記録。同年5月にはJ1デビュー。2022年より主力に定着し、同年のホーム試合で年間通じて最も活躍した選手に贈られる『ミスターガンバ・黄金の脚賞』を受賞。今季も第25節終了現在、累積警告による出場停止1試合を除く24試合に出場して2ゴール2アシスト。パスの受け手だけでなく出し手にもなれるゲームメイカー型SBとして、日本代表入りも期待される高水準なプレーを続けている。右足でシュートを放つことが多いが、パスは左足。足も手も生粋の左利きで、文字を書く時だけは右手を使う。

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