指揮官の“決意”とともにJ1へ!
山形が清水との昇格プレーオフ準決勝に勝利すれば、決勝は3位・東京ヴェルディまたは6位・ジェフユナイテッド千葉の勝者と戦う。
相手が東京Vの場合、今季リーグ戦最少失点(※31失点)と堅守を誇るチームに対し、アウェイの国立競技場で「勝つしかない状況」となる。
一方、千葉の場合は「引き分けでもOK」となり、ゲームプランは大きく変わる。渡邉晋監督がベガルタ仙台時代に共闘した小林慶行監督との対決も話題を呼ぶだろう。
いずれにしても、山形は終盤戦の勢いをプレーオフに持ち込むことが重要となる。攻撃に特化している分、受けに回ることは得意としないからだ。
渡邉監督が攻撃に特化している理由として、仙台時代(※2014年4月から2019シーズン終了まで指揮を執った)の経験が挙げられる。
最後に、2020年10月に刊行された渡邉監督の著書『ポジショナルフットボール実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる』(カンゼン)を引用しながら考察していきたい。
監督就任後はクラブの伝統である堅守速攻を踏襲しつつ、徐々にポジショナルプレーを導入し、攻撃サッカーを貫き試行錯誤していく中で最後はJ1残留のために堅守速攻へ回帰した(p.27を要約)というのが、仙台時代の流れである。
特に堅守速攻への回帰については、理想と現実の間で揺れる指揮官の想いが吐露されている。