『(前略)当時は結果を強く強く求めていた中で、現実的に失点を減らさなければいけない。それが間違いなく正解だと思っていました。(中略)私は仙台というクラブでの在籍期間が長く、選手やアカデミーコーチ時代を含めれば、20年近い時間を過ごし、いろいろなものをクラブの中から見てきました。だからこそクラブが置かれた状況、周囲の期待のようなものは理解していたつもりです。本来は、「結果を得るために今これをやらなければいけない」と、周囲に『ポジショナルプレー』と呼ばれた攻撃的なサッカーをスタートさせたはずなのに、いつの間にか「結果を求めるために、守備的なアプローチの量が増えていった」のです。そこは今思えば、もう少し貫きたかった、いや、貫いてもよかった、というのが正直な気持ちです』(p.172)

長年過ごしたクラブのJ1残留のために、自身の哲学を封印して現実路線に舵を切る――。2019シーズンの仙台は最下位に沈んだ時期がありながらも、結果的に11位でフィニッシュ。J1残留という最大のミッションを見事クリアした。

とはいえ、攻撃的なサッカーを「もう少し貫きたかった、いや、貫いてもよかった」というのは偽らざる本音だろう。

仙台時代の経験を踏まえれば、現在の山形が攻撃に特化している理由がうかがい知れる。そこには、「攻撃的スタイルで圧倒する」という渡邉監督の“決意”があるのではないか。

プレーオフ進出には、勝利してとにかく勝ち点3を積み重ねるしかないという今季の状況も、指揮官を後押ししたはずだ。

なお、昇格プレーオフに出場する4クラブのうち、ラスト5試合を5連勝で終えているのは山形のみ。劇的な展開でプレーオフ進出を決めた勢いの面だけで見れば、“昇格の大本命”と言っても過言ではない。

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準決勝を制するのは「オレンジ軍団の意地」か、それとも「山の神の勢い」か。

25日(土)にIAIスタジアム日本平(アイスタ)で行われる清水vs山形の一戦は、両クラブのファン・サポーターのみならず、全Jリーグファン必見の好ゲームになるだろう。試合は13時にキックオフされる。

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