近年はSNSの発達もあり、戦術的な話がサッカー界を賑わしている。
ただいかに理論的に優れていても、選手がその通りに動けなければ意味をなさない。戦術というのはそれが高度になればなるほど、選手が120%の力を発揮してようやく機能するものだからだ。
では選手の力を120%発揮させるもの、選手の体を極限まで突き動かすものとは一体何なのだろうか。
元日本代表MF細貝萌(現ザスパクサツ群馬)は、2011年に浦和レッズからバイアー・レヴァークーゼンに移籍し、アウクスブルク、ヘルタ・ベルリン、シュトゥットガルトとドイツで4つのクラブを渡り歩いた。
彼にとってドイツでの生活は決して楽なものではなかったようだが、一人の恩師の存在が彼を支え、また突き動かしたようだ。
――細貝選手はレヴァークーゼンと契約を結び、すぐに2部のアウクスブルクにローンされました。ここで出会ったヨス・ルフカイ監督との絆がその後のいろいろなキャリアに繋がったと聞いています。
ルフカイ監督がいたから僕のヨーロッパの時間はあると思っています。
例えば最初アウクスブルクに入って「通訳欲しいな」と思った時もありました。本当に1から10の数字を数えられないくらい、最初はドイツ語が全く分からなかったので。
でもルフカイ監督は僕に対して「通訳は付けたくない」と。付けたくないというか「分からなければ理解できるように英語でも言うから」…それが僕にとってもいいという話をずっとしてくれて。
ドイツで2年, 3年, 4年, 5年とやりたいのであれば通訳はなしにして、最初は苦労するけど自分の力でドイツ語を学んでいったほうがいいと言ってくれてたんです。
最初は「えっ」と思ってました。でも結果的にはホントに通訳いないでやってて良かったなと思います。そういう面も含めてルフカイ監督はすごく自分のことをケアしてくれてたなというのは感じましたね。