天皇杯でのラストアピール、五輪への思い

これまで世代別代表で結果を出してきた内野だが、五輪入りの最終アピールとなる4月に開催されたアメリカ遠征の帯同メンバーに選出されなかった。それでも腐らず、ひた向きにアピールの機会を伺っていた内野に最後のチャンスが訪れた。

先月開催された天皇杯2回戦FC町田ゼルビア戦で試合終了間際の後半46分に内野が値千金の同点弾を右足で決めた。試合はPK戦の末に勝利を挙げ、昨季J2優勝、今季J1首位チームを破る大番狂わせを見せた。このゴールで五輪入りのラストアピールを見せた内野は、今月3日に発表される五輪メンバー入りに自信を見せた。

――天皇杯2回戦の同点弾を振り返っていただけますか。

0-1で長く試合が進んでいて自分としてもアディショナルタイムだったと思うんですけど、最後までゴールに対する気持ちを切らすことがなかったことが、あのゴールの1番の要因だと思います。

――J1首位を快走しているチームから得点を取れたことは自信になりましたか。

そうですね。J1相手にもまず勝てたというのがすごく自信になります。あの苦しい時間帯でチームを救うことができたことが1番の自信になりました。

――U-23日本代表のアメリカ遠征のメンバーに選ばれませんでした。アピールの舞台としてすごく大きかったと思うんですけど、それだけに天皇杯2回戦にかける思いは違いましたか。

そうですね。メンバーに入れなくて悔しかったですし、大学でいくら活躍しても(天皇杯の)舞台のほうが注目されます。

プロ相手にどれだけできるかというのが1個の指標になってくると思うので、あそこで1点取れたことが良かったと思います。

――7月3日の発表を前にラストチャンスだったと思うんですけど、アピールはできましたか。

最低限はできたかなと思います。自分は大舞台に強いと思っているので、そういった面でもそこをアピールできたことは良かったかなと思います。

――パリ五輪への思いを聞かせてください。

五輪に出たいです。

「メンバーになんとか入りたい」と思って今年スタートからやってきました。

最後になんとか入れればいいですけど、自分としては自分のできる場所で精一杯アピールして、あとは選ばれるか選ばれないかを待つだけかなと思っています。

――自信はありますか。

(力強い声で)自信はあります。「行ったらやれるぞ」という自信があります。

キャリアの展望

大学生ながら国際舞台、プロとの公式戦でも結果を挙げている内野は国内外から大きな注目を浴びている。ある欧州のプロクラブ関係者は内野を「サイズもあって、技術も優れている。彼がアマチュアでプレーしていることが信じられない。近い将来欧州でプレーしているだろうね。彼を見逃すチームは存在しないだろう」と太鼓判を押していた。

――ここからは将来のキャリアの話をお聞きします。マリノスのトップチームに内定したい思いはありますか。

正直なところ、「目指している」ということはないですね。

もちろん育ててもらったというか、中学校のころから面倒を見てもらったので感謝する気持ちがあります。

マリノスに入ってなかったらいまの自分はないと思うので感謝の気持ちはありますけど、いまはマリノスに戻りたいというかそういう強い気持ちがあるわけではないですね。

――オファーが来たときに考える形でしょうか。

自分が「元いたから」とかいう理由で決めたくはないですし、自分がどこでどう活躍していけるか。将来のビジョンから逆算して選びたいと思います。

――今後のキャリアの展望を教えてください。

最終的な目標は「プレミアリーグで活躍できる日本人センターフォワード」になりたいと思っています。そのためには、日本代表に入るレベルじゃないとプレミアには行けないと思うので、「プレミアでやる」というところから逆算してキャリアを考えたいと思います。

国内外からも動向を追われるようになった大学生最強ストライカー内野は刻々と迫る五輪メンバー発表を待っている。メンバー入りが決まれば花の都パリでどのようなプレーを見せてくれるのか。

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いまや大学生最強のストライカーからアマチュア屈指の大物となった男のこれから始まる航海がどうなるか、目を離さずに見届けたい。

(取材・文 高橋アオ)

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