昨季覚醒した大学最強ストライカー

筑波大では多くの学びを得て自身の成長につなげてきた内野。大学1年次に当時蹴球部でコーチを務めていた元日本代表FW平山相太氏(現仙台大サッカー部監督)から指導を受けた。

大型ストライカーの先輩の指導、地道な努力により身長185センチの大型ストライカーは覚醒の兆しを見せ始めた。

――高校時代の内野選手をプレミアリーグなどで何度か見ましたけど、筑波大に入ってから足が速くなった印象を受けました。

速くしている途中でもあるんですけど、高校のときよりは体も大きくなっているし、体が大きくなっている上に動きもちょっとずつ速くなっていっている実感はありますね。

――どのようなトレーニングをしてスピードに結びつけていますか。

いろんなトレーニングをして、いまも試行錯誤している最中です。ベースとなる筋肉のところも大事ですし、筋肉をどうやって使うかというのと、どこから体を動かすのかというところがいま1番フォーカスしてやっているところです。

――筑波大入学後は食生活も気を使われていますか。

最近はほぼ同じパターンなのでいまは気を使っていませんが、一人暮らしを始めるにあたっては、どういうメニューを食べようかというのは自分で作って考えてやっていました。

――筑波大の授業から得たエッセンスはありましたか。

元から自分で調べていたというのもありますけど、大学の授業やいろんな知識を持っている人に話を聞いて、自分の取り入れるところを取り入れています。

――具体的に役に立っている部分を教えてください。

いま1番意識していることは、まずいい体の使い方。「いい体の動かし方を体に反復させた上でサッカーに取り組む」ことを1番大事にしていると思います。

――ゴール前での動きに生きていますか。

ゴール前の動きもそうですけど、すべての動きですね。いい動かし方を体に覚えさせて、止まっている状態から加速するときに理想とする体の使い方をアップなどで確認して、その動きができる状態で練習に入る。無意識にできるように毎日反復させているという感じです。

――昨季は現仙台大の平山相太監督が指導されていました。同じ大型ストライカーとして貴重なアドバイスはいただきましたか。

去年は「お前はゴール前で好きにやってくれ」と言われていたんですけど、逆に「点以外のところでなにかチームに貢献できるものがないと、点を取れている時期はいいけど、点を取れなくなったときに何も残らない選手になるぞ」と言われていました。

平山相太氏(仙台大コーチ時代)

――その指摘を受けてどういった部分を新たに身につけようと努力されましたか。

ポストプレーのところであったり、チームが劣勢に立たされているときになんとか自分のところで時間を作って、こっちに「流れを持っていく」ところを去年は意識してやっていましたね。

――大学1年のときより今年に入ってからゴールパターンが増えた気がします。

いままではどう相手を動きで外して、いい状態でボールを受けて少ないタッチで決めるかみたいなところが自分の良さだと思っていました。

逆に相手にブロックを敷かれたり、マークが厳しくなったりしたときにどうしても試合から消える時間が長くて…。「どうしようかな」と自分なりに考えたときに、個ではがせる力を付けないと上ではやっていけないなとすごく思いました。

今年からそこにすごく取り組んでいるので、少しずつ芽が出てきたというか。だいぶ自分の中でも成長してきているのかなといういい感じがあります。

――世界には多くの大型ストライカーがいますけど、見本にしている選手はいますか。

ハーランド選手をずっと見てやっていましたけど、(いまは)色んな選手を見ていますね。

例えばいまだったらエムバペ選手も見ていますし、ドイツの(セール・)ギラシ選手。ちょっと前でしたら(ドゥシャン・)ヴラホヴィッチとかも見ていました。

いろんな選手を見てやっていましたね。あとフェイエノールトのFWサンティアゴ・ヒメネス(※上田綺世のライバル)ですね。

――すごくマイナーなところまで見ているんですね。研究熱心ですね。

あとはニューカッスルのアレクサンデル・イサクかな。いろんな選手を見ています(笑)。

――欧州でプレーする大型ストライカーを見て世界で活躍するためのイメージを作っていると思いますが、1番影響を受けているエッセンスはありますか。

ゴール前のところですかね。最後はシュートだと思うので、シュートまでの持っていき方とか体の使い方とかをよく見ています。

――鈴木優磨選手、大迫勇也選手など、Jリーグで影響を受けている日本人選手はいますか。日本代表選手も含めて大丈夫です。

大迫選手もそうですし、上田綺世選手、古橋亨梧選手、あとは興梠慎三選手の影響も受けていますね。

――どういった部分を参考にしたり、取り入れようとしていますか。

1番大事にしていることはゴールだと思います。ゴールの取り方、どこに走るか、どこにポジションを取るかというところを1番参考にしています。

――実際に身になったプレーはありましたか。

興梠選手の映像をよく見ていたときがあって、背はあまり大きくないけど、駆け引きで外してゴールを決めるところで、自分があの駆け引きをやれば興梠選手よりも体は恵まれていると思うので、「デカい選手があれもできるんだ。じゃあ止められないじゃん」となるのかなと思っています。

浦和で数々のゴールを挙げてきた興梠慎三

――裏抜けが得意な古橋選手などを見ていますけど、目指すべき先は“万能型ストライカー”でしょうか。

ストライカーである以上はどんな試合でも点を取れることが大事だと自分は思っています。万能型かどうかは分からないですけど、「アイツはどんな形からでも怖いよな」という選手になりたいですね。

――将来的にはヨーロッパ行きも考えていると思います。今後成長する上で大型ストライカーとしての課題であったり改善点を教えてください。

チームが苦しいときになにができるかというのが大事だと思います。今シーズンは筑波で苦しい時間が多いというか、去年ほどチームとして完勝する試合が少ない。その分、自分がやれることの大きさがチームの勝利に直結すると思います。

去年は(山内)翔くんがいたから自分も他の選手も、翔くんに引っ張ってもらったというか。のびのびなにも考えずに出来ていた部分があった。

逆に今年は翔くんがいなくなって、引っ張るのを誰がやるのかっていうところで、自分が引っ張っていくくらいの強い意志を見せるところが今年は大事だと思っています。