スペインがイングランドを2-1で下して優勝したEURO2024。だが、その後スペイン・マドリードで開催された祝勝会でACミランFWアルバロ・モラタとマンチェスター・シティMFロドリら複数の選手によって歌われた「ジブラルタルはスペインのもの」というチャントは物議を醸し、後に二人は欧州サッカー連盟(UEFA)により1試合の出場停止処分を課せられた。
イベリア半島の南端、地中海の入り口に位置するジブラルタルは、1713年にスペイン継承戦争で割譲されて以来現在に至るまでイギリスの海外領土だ。
スペインは同地の返還をイギリスに求め続けており、実際二か国による共同統治が模索された時期もあったが、2002年にジブラルタルで実施された住民投票ではスペインによる統治は99%の得票率で否決している。
イギリス紙『Daily Mail』は4日、レアル・マドリーのスペイン代表DFダニエル・カルバハルがインタビューでこの事件について弁明したと報じた。カルバハルは「(ジブラルタルのチャントが)決して不快感を与えたり、対立を引き起こしたりするものではなかった」としたうえで、不快に感じた人たちに向け謝罪した。だが、最後には「イングランドのサポーターが不快に感じたとは、一度も言っていなかった」と弁明している。
北朝鮮サポーター、「キム・ジョンウン!」と叫びながら応援していた
確かにカルバハルの言う通り、イギリスではこのチャントに極めて大きな反発があったわけではない。しかし、一つ重要な事実を付け加えるならば、この事件に1番激怒していた地域はイギリスではなくジブラルタルだ。
ジブラルタルのファビアン・ピカルド首相は自身のX(旧Twitter)でこのような声明を発表している。
「ジブラルタルはジブラルタル人の所有物であり、いかなるチャントや他のどのような出来事もそれを変えられない」
カルバハルを始め、スペインの選手たちが行うべきはイギリスに対する言い訳ではなく、ジブラルタルへの誠意ある謝罪だったのではないだろうか。