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観客動員とインターハイ-「吹っ掛け」の論理

さて、JSCによる収支見積もりの中で一番怪しまれているのは、年間11日とされている陸上競技です。私も、ここでは収益は期待できないと考えます。

2008年、北京五輪選考会を兼ねた第92回日本陸上選手権が、川崎市の等々力陸上競技場で行われました。市はこの時にトラックの再舗装・防風フェンス・補助競技場の整備を行いましたが、トラックを「フロンターレに合わせた青色」にする予定は「伝統的なレンガ色」にこだわった日本陸上競技連盟(日本陸連)の反対で消えています。

大会は4日間行われましたが、室伏広治や為末大、福島千里や福士加代子などの日本陸上界のトップ選手が勢揃いしても、観衆数は連日1万人前後でした。当日券の最高値がS席大人2000円、4日間共通券でも6000円だったので、入場料収入はフロンターレのリーグ戦よりかなり少なかったはずです。

等々力では北京五輪後の9月にもスーパー陸上が行われました。男子4×100mリレーの銅メダリスト・朝原宣治の引退レースになり、リレーメンバーのうち3人が出場、さらに引退式では将来のマンチェスター・ユナイテッド入りも噂される(笑)ウサイン・ボルトが登場という豪華さで、私も行きましたが、観衆数は1万人より少なそうでした。つまり、今の日本の陸上競技にはその程度の動員力しかないわけです。

また、上で挙げた河野太郎ブログの12月27日付記事では、陸上競技での観客数として<表1>の数字が示されています(2011年か2012年かの確認が必要ですが)。

<表1> 陸上競技の国際大会・日本選手権等の開催日数と入場数


出典:河野太郎公式ブログ2013年12月27日付記事(承前)

ただし、日本陸連は長居で行われた2012年の第96回日本選手権では3日間で6万人、2日目の6月9日(土)には最多の3万4千人が来場したと言っていますが……実数の何倍なのでしょうか。この大会はロンドン五輪の代表選考会を兼ね、この日は男子やり投げでディーン元気と村上幸史が対決し、女子100mで福島千里も登場しましたが、時事通信や公式サイトでの写真を見ると、背後のスタンドは明らかに空席の方が多くなっています。 セレッソ大阪は2013年のホーム最終戦、11月30日の鹿島アントラーズ戦で36,361人の入場者を集めました。「セレッソ ホーム最終戦」で検索すれば、本当にその程度入ればどうなるのかが分かります。

第96回日本陸上競技選手権大会公式サイト 「大会2日目ハイライト&3日目の見どころ」
http://www.jaaf.or.jp/jch/96/news/day2h.php
時事通信 「やり投げ、ディーン元気 写真特集」、2012年6月9日付配信
http://i.jiji.jp/jc/d4?p=dea70301-jlp12730839&d=d4...

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