6月を迎えワールドカップ本大会までいよいよ2週間を切ったが、31日にはイタリア代表のリッカルド・モントリーヴォ、メキシコ代表のルイス・モンテス、ガーナ代表のジェリー・アカミンコが骨折により離脱するなど、直前に迫った今もなお怪我人が後を絶たない今大会。なかでも故障者に主力級の選手が多くその影響を心配されているのが中南米勢(北米のアメリカ、メキシコを含む)だ。
両地域からの出場10カ国中、これまで大きな故障のニュースが伝わっていないのは開催国ブラジル、アルゼンチン、ホンジュラス、アメリカくらいだろうか。日本代表と対戦するコロンビア代表のエース、ラダメル・ファルカオが今年1月に左膝靱帯断裂の重傷を負い今なお懸命にリハビリを続けていることは周知のことだが、超攻撃的フットボールの“エンジン”チリ代表アルトゥロ・ビダル、カウンター戦術の柱であるウルグアイ代表ルイス・スアレスと、チームの看板2人も離脱こそしていないものの大会直前に手術を余儀なくされコンディションは不透明なままだ(チリはマティアス・フェルナンデスも負傷により既に離脱)。
その他、コスタリカ代表は英・エヴァートンに所属するブライアン・オビエドが1月に負ったけい骨と腓骨を骨折する大怪我により大会に間に合わず、チームのトップスコアラー、アルバロ・サボリオも先日の練習中に負傷し離脱。メキシコ代表は早期に負傷したフアン・カルロス・メディーナに続き、チームを操る司令塔ルイス・モンテスが31日のショッキングな骨折によりチームを離れた。また、昨年呼吸不全による心停止でチュチョことエースのクリスティアン・ベニテスを失ったエクアドル代表も、モンテスと交錯した主力のセグンド・カスティージョが足を痛め、怪我の状態が心配されている。
近代フットボールのフィジカル面での負担増加が叫ばれる昨今だが、今回何故これほどまでに故障者が相次いでいるかは改めて様々な角度から検証する必要があるだろう。いずれにせよ、国と言語は違えど同じアメリカ大陸の文化的に近いブラジルで行われるワールドカップ。期待の大きい中南米勢にとって気候から人々の感性までよく知る国での晴れ舞台だけに、こうして怪我人が続出していることは非常に残念なことである。