はじめの愚痴

私が欧州フットボールに興味を持ち始めたころ、そのメーン舞台は間違いなくイタリアにあった。そこからの変遷の歴史などは私がわざわざご紹介することではないだろう。問題は今、それはスペインへと移っているという事実から生まれ、その序列は、欧州カップ戦で活躍したクラブの所属リーグに振り分けられたポイントから定められている。私はそもそも、ここでフラットに採点することに疑問を感じている。これは愚痴(しかも言っても意味のない無駄口である)になるため手短に済ませるが、イングランドにはカップ戦が1つ多い(国王杯とは別のカップ戦が存在している)、そして近年ホットな話題となっている、いわゆる“ウィンターブレーク”が存在しない。学生のクラブ活動ではない、生活をかけた試合を、欧州中を飛び回り、移動を繰り返しながら実行していく。これにおいて、10日間から2週間の休みの有無は、これ以上ない差を生むだろう。これがないことは、シーズンを通して、特にシーズン後半には大きなアドバンテージとなる(でもクリスマスだろうと元日だろうとフットボールが全て!という雰囲気は最高に好き)。

さらには、全世界に衛星中継されるプレミアリーグの試合は、放映料・放映プログラム上の問題で、余程のことがない限り日程変更が行われない。他のリーグでは、ヨーロッパでの戦いをミッドウィークに控えるクラブのリーグ戦が、翌週のマンデーマッチとして組まれる、などの配慮は多々見られる。プレミアクラブの怪我人は増え、厳しい状況での連戦に、モチベーションのマネジメントも難易度は増すばかりだろう。加えてドイツはシーズン34試合だろう…。愚痴はこのくらいにして、章を跨ぐことにしよう。私は、リーガにもブンデスにも、プレミアは負けていない!なんてことが言いたい訳では勿論ない。私が危惧しているのはイングリッシュ・プレミアリーグ、その“特異性”のことである。

「プレミアリーグ」と、好きなリーグを問われた時に答えると、「へー」という顔をされたものだ。“物好き”という言葉は言い過ぎに当たるだろうが、私が小学生の頃は、誰もがユヴェントスやミラン、“銀河系軍団”を謳い始めたレアル・マドリーに夢中であった。雑誌の紹介順序はいつも3番目、「週末のタイン・ウェアダービーは…」などという会話は少なくとも私の周りでは交わされていなかった。個人的見解とはいえ、今とは状況は大きく異なっていると思える。皮肉なことに現在のそのポジションを担うのはイタリアサッカー界であるようだが、当時のイングランドを振り返りながら、このテーマを解剖してみる。