リヴァプールから新時代へ

彼の作り上げたヴァレンシアCFは、スペインで大きな存在感を示していた。フェルナンド・イエロやクロード・マケレレの抜けた“銀河系軍団”というショーチームでは全く歯が立たず、ロナウジーニョ・ガウショを迎えた新生バルサも退けてリーガを制覇。さらにはUEFAカップを勝ち取って2003-04シーズンをフィニッシュした。ラファ・ベニテスのリヴァプール就任は、近代の英国フットボールにおける大きなポイントだと考えていいだろう。

彗星のごとく現れた天才フランセスク・ファブレガスがアーセナルでブレイクを果たすと同時に、彼はイングランドにスペイン人を多く呼び寄せた。結果としてルイス・ガルシア、ホセ・マヌエル・レイナ、ミケル・アルテタやシャビ・アロンソらは、近代のイングランドサッカーを形成するパイオニアとして、激しく早いフットボールにラテンのエッセンスを加えることに成功する。そしてそれが完成したことを、私が最も痛感したのは、フェルナンド・トーレスというスーパースターの誕生を経て、アルベルト・リエラが活躍した時だった。正直、私は当時彼を知らなかった、特別若いわけでもない、見知らぬスペイン人がプレミアリーグで躍動する姿を見て、この国のシーンが“変わった”ことを完全に認識した。

ジェラール・デウロフェルやミチュが、イングランドでブレイクを果たすことは最早大したショックではない。すなわち、イングランドフットボールは、その“特異性”の色を薄め、よりワールドワイドな、聞こえは悪いが“一律的な”フットボールに傾いている。そして近年、そのフットボールは二次的影響として南米人プレーヤーを増幅させ、グローバル化をより促進させた。その結果が74%から34%という数字の変化をもたらしたのだろう。