結論を言えば、プレミアリーグの発展における、イングランド人の功績は大きいとは言えない。そしてそのフットボールの輪は、“個性”を削った角のない完成度に達し、ワールド・フットボールを完成させた。今やアフリカ人だろうとスペイン、ベルギー人、東欧人、南米人、そしてはアジア人までもが馴染む事のできる、よりオープンな“サッカー”が展開されているのだろう。ポール・ガスコインはラツィアーレのアイドルにはなれず、あの中田英寿ですらボルトンで輝くことはなかったが、私は現在のプレミアリーグにネガティブな印象を抱いているわけではない。以前のプレミアを懐かしく思う時はあるが、私は今もプレミアリーグのファンである。しかし、この開けたフットボールがヨーロピアンフットボールの色彩を奪ってしまうのではないか、という懸念は拭いきれない。

エディン・ジェコは幼い頃、セリエAでのプレーを夢見ていたというが、現在はその考えを是が非でも貫きたいという意思はないという。それはUEFAランキングに完全にのみ準じた意見ではないだろう。イングランドであれ、イタリアであれ、ドイツであれスペインであれ、その“リーグに行く必要性”は薄まった。そしてそれは結果として、クラブ間の格差を拡大することに繋がり、ますますキャリアの選択肢を狭めるだろう。パリ・サンジェルマンが名門クラブではないとは言えないが、フランスリーグに憧れてパルク・デ・プランスのゲートをくぐるスタープレーヤーは少ないだろう。特性の抜けた、ビジネスライクでフラットなフットボールは、そういったケースを少なからず促進させているはずである。

しかし、これからもフットボールの歴史は築かれていく。ふと、今のイングランドフットボールにならクライファートや、愛するフアン・セバスティアン・ベロンも活躍できたのではないかと考える時がある。リーガからだろうと、セリエからだろうと、そのスタイルの壁は確実に崩れ始めている。この問題に正解も不正解も存在しないが、このムーヴメントと向き合うことは、欧州各国のフットボールを愛する人間として、異議のあることのように思う。各国のリーグは、色を“失った”と表現されるのか。しかし私はこれを真っ白なキャンバス、どんな色付けも可能な新しいフラッグだと思いたい。世界中から集まった最高の絵具たち…そして数歩下がって旗全体を見た時、赤と白のコントラストが鮮やかに栄えているのなら、私にとってこれ以上嬉しいことはない。


筆者名:榎本耕次

プロフィール:90年代後半から2000年代初期にかけてフットボールに目覚める。マンチェスター・ユナイテッド一筋。ユナイテッド、プレミアリーグ関連の記事を中心に、自由なトピックで執筆中。一番好きな選手はロベルト・バッジョ。アイドルはデイヴィッド・ベッカム。あまり大きな声では言えませんが、正直圧倒的にイングランド代表を応援しています。なにかあればTwitterアカウント: @KJE_Footballまで。異論反論大歓迎です。
ツイッタ ー: @KJE_Football

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