エルコンドルパサー

1999年、日本の高額賞金よりも“夢"を選んでフランスへ長期遠征し、凱旋門賞制覇にあと一歩まで迫ったエルコンドルパサー。

モンジューの末脚に惜しくも屈したものの、歴史的なマッチレースで手にした国際的なレーティング「134ポンド」は日本調教馬としていまだに最高の評価。歴代2位で今年の凱旋門賞に出走するジャスタウェイの「130ポンド」を4ポンドも上回っている(2年連続凱旋門賞2着のオルフェーヴルは「129ポンド」)。

さて、そのエルコンドルパサーの馬主であった渡邊隆氏は、今をときめく日本代表FW武藤嘉紀(FC東京)で話題の慶應義塾体育会ソッカー部出身。先輩に現JFA会長の大仁邦彌氏や元会長の犬飼基昭氏、同級生には川崎フロンターレの武田信平社長がいたという、もはや「サッカー人」といえる存在で、これまで所有した競走馬の多くにサッカーに因んだ名前を付けている。

どうしても「サイレンススズカの悲劇」とともに語られてしまう天皇賞馬オフサイドトラップを筆頭に、ドイスボランチ、ワールドカップ、トルシエマジック、ナイスベンゲル、ポリバレント、ダイレクトパス、ワンツーリターン、アーセナルゴールなどなど。

“おもしろ系”では、2010年のワールドカップイヤーに共同通信杯を制して話題となったハンソデバンド(=半袖播戸)がおり、その兄弟(母クラウンアスリート)もウェンブリー、ヘディングマキ、ロングスローイン、キャノンシュート、さらには「血も涙もないような厳しいシュート練習」が由来のチモシュートと、えらいことになっている。

ちなみに、エルコンドルパサーも実はサッカー絡みの馬名。渡邊氏がソッカー部時代にお世話になったペルー出身の先輩を思い浮かべながら、ペルーのアンデス民謡「コンドルは飛んでいく (El Cóndor Pasa)」の名を付けたという。

一度聴いたら忘れないこのメロディ。1970年、サイモン&ガーファンクルによってカバーされ、世界的に知られるようになった。