先日、川崎フロンターレから田中裕介を、そしてサンフレッチェ広島から高萩洋次郎を獲得したウェスタンシドニー・ワンダラーズ。昨年までは小野伸二が在籍しており、監督は日本でプレーしていたトニー・ポポヴィッチ氏が務めているなど、我が国との関係が深いクラブになっている。

何故彼らは再びJリーグの才能に目を付けたのだろうか?

~クラブ創設以来の快進撃と、その終焉~

2012年にクラブ創設が発表され、オーストラリアサッカー連盟の主導の下でAリーグに参加したウェスタンシドニー・ワンダラーズ。

初年度はもちろん寄せ集めのチームであったが、元日本代表MF小野伸二をはじめとしてアーロン・ムーイ、ジェローム・ポレンツ、ヤコポ・ラロッカ、マッテオ・ポリャク、ユスフ・ヘルシ、ニコライ・トポー=スタンリー、マーク・ブリッジなど実力者が揃った。

序盤は苦戦したものの、中盤戦からは快進撃を見せてレギュラーシーズンを首位で終えた。グランド・ファイナルでは敗れたものの、創設初年度での歴史的な結果であった。

その好調は次年度も続いた。後に大きくブレイクするトミ・ユリッチ、そしてブレンダン・シャンタラブ、マシュー・スピラノヴィッチを加えたチームは、レギュラーシーズンを2位で終え、グランドファイナルに進出。決勝でブリスベン・ロアに敗れたものの、2年連続の素晴らしい結果だった。

また、国際舞台でも栄光を手にすることになる。初出場となったAFCチャンピオンズリーグでは、川崎フロンターレを破ってGLを突破。決勝トーナメントでは昨年の王者広州恒大、サウジの名門アル・ヒラルを守備的なサッカーで撃破し、驚きの初優勝を飾っている。

(11月にAFCチャンピオンズリーグを制覇したウェスタンシドニー)

創設からわずか2年で得られた名声は非常に大きい。こうしてウェスタンシドニーはオーストラリア屈指の強豪チームとなったはずだった。

ところが、迎えた2014-15シーズンのAリーグでは予想外の結果が待ち受けていた。

開幕戦でメルボルン・ヴィクトリーに4失点で大敗すると、続くシドニー・ダービーにも敗北。現在になっても12試合を終えて4分け8敗、まだ未勝利である。失点は多くはないが、得点は何と7点しか取っていない泥沼状態だ。

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