うくら「後、これはちょっと一読者として聞いてみたかったんですけど、主人公の沖君*のモデルみたいな選手っているんですか?」
*『フットボールネーション』の主人公、沖千尋。草サッカーチームの有料助っ人として活躍し「ジョーカー」などと呼ばれている。ポジションはボランチ。
大武 「決まったモデルがいる訳ではないですね、自分の中で、理想のボランチが千尋という感じです」
うくら「僕は、今回読んだ事のある皆さんにも『誰が沖君のイメージに近いと感じたのか』というのもお聞きしてみたいですね。ちなみに、僕はASローマのMFピアニッチが沖君っぽいなって思っていたんですが」
結城「足元のテクニックがあって、視野も広い選手ですよね。ピアニッチは天才肌というか、そういったところも沖君のイメージに近いかもしれません」
手原「僕は、ちょっと沖君、レドンドっぽい気がしていたというか。なんせイケメンっていう。ただ、それを自分の漫画でやったら何故か滝君*になったんですよね(笑)」
*チームで唯一、全国級の実力をもつMF。
うくら「滝君のイメージって、どっちかというと元アルゼンチン代表のカンビアッソですよね」
db7「ちなみに大武先生の理想となるボランチっていうのは、どのような選手なんですかね?」
大武 「マティッチ(チェルシー)、ヴィエラ(元アーセナル)、マスチェラーノ(バルセロナ)、ケディラ(レアル・マドリード)、アロンソ(バイエルン・ミュンヘン)辺りが好きですね。ロングパス蹴れる系が好みです。ショートパスで散らす系というより、大きく展開するタイプですね」
結城「守備がしっかり出来る選手も多い、という感じですね」
大武 「後、男の子には『この選手はモデルいるんですか?』って聞かれることが多くて、ちょっと読み方が違うというのは感じていましたね。ゲームで主人公の名前に自分の名前を入れたりするような感じなのかもしれません。自分が作品に入り込む没入感っていうか、そういうのがあるのかなと」
うくら「プレイヤーだったら、自分の経験とかを重ね合わせているってのはあるかもですね」
結城「サッカー漫画って、勿論そういう楽しみ方はありますよね。どんどんと上手くなっていく主人公に自分を重ね合わせながら読んだり、とかは結構サッカー好きな人は経験あるんじゃないでしょうか。後は自分のポジションのキャラクターに、なんとなく肩入れしてしまったりとかも」
大武 「私はプレー自体の経験はないのですけど、自分に経験があったら辛くて描けないんじゃないかとも思うことはあります」
db7「『フットボールネーション』だと、結構負けた後の相手チーム辛そうですよね」
大武 「相手チームは全否定されていますけど、そこで大事なことに気付くというか。敗北してショックを受けて、そこで終了にはなって欲しくないんですよね。自分で、どうにか大事なことに気付いてほしいんです。『まだ変われるよ」っていうメッセージは常に意識しています。どうやったら日本のサッカーが強くなるかも、考えていますね」
結城「こうして聞いてみると、凄く素晴らしいメッセージが込められているっていうことに気付けますよね」
手原「そうやって聞くと、ちょっと僕なんて緩いなって思っちゃいますね(笑)」
大武 「本来、エンターテイメントっていうのはそういう感じでいいんですよ(笑)日本のサッカーが凄く弱いときから見ていると、どうしても時々娯楽を忘れてしまうかなと(笑)」