深い位置に侵入したナスリがボールを失い、そのままボールはラキティッチへ。本来は中盤において守備を得意とする唯一のプレイヤー、フェルナンジーニョが迎撃に向かう。
ここでの問題はシルバとヤヤ・トゥーレだ。この時点で足を止めてしまっており、バルセロナのボールに対してプレッシャーをかけることが出来ていない。
フェルナンジーニョがファール覚悟で相手を潰したものの、ヤヤ・トゥーレの反応が遅れたことでセカンドボールを拾うことに失敗。シルバ、ナスリの2人は、この時点でほぼ足を止めてしまっている。
加速力に優れるジョルディ・アルバにボールを持ち出され、この時点で前線5人が足を止めて取り残された状態に。
ここでは、ナスリのドリブルでの仕掛け、また守備に対する意識において致命的にズレがあったように思える。ナスリが仕掛けた際に周りの選手は守備に移行する準備が出来ておらず、守備においても後手に回ってしまった。
これが、ある意味では個々の想像力に依存するシティの弱点だ。攻撃において個々のアイディアを生かすために細かな決まり事を作っていないことは、守備においては大きな弱点になりかねない。攻撃的な構成も、悪い形でカウンターを浴びる1つの原因となった。
そして、ここから先制点に繋がってしまうことになる。この先制点のパターンは、今まで触れてきたバルセロナのフリーランという布石によって生み出されたものだった。
メッシが右サイドでボールを受けると、内側に入り込むような方向へドリブルを開始、それと同時にスアレスは右に流れ、全体を右へと引き付ける。全体の目線が右側に向いてしまう。そして、同時にネイマールが内側にカットイン。
何度かネイマールによって背後を取られたサニャは、彼を視界に収めた事で一瞬満足してしまう。
そして、そこで背後に走り込むのはラキティッチ。1枚前での写真では、フェルナンジーニョのタックルで体勢を崩していたMFが、すぐさま体勢を立て直して左サイドから走り込む。
右や中央に走り込むことが多かった彼のスペースへの侵入は、ネイマールの動き出しとメッシのドリブルによって、完全に守備の「死角」を突くものとなった。
ヤヤ・トゥーレは走力的にラキティッチに追いつく事は出来ておらず、更に問題視されるべきはDFへの指示だろう。完全に死角へ走り込むラキティッチを見ることが出来るのは恐らく彼と、GKのジョー・ハートのみ。彼らがDFラインに少しでも危険を通達することが出来たら、結果は違ったものになったかもしれない。