注目どころは?

今回の構成を見れば、イラクを知っている人なら「CBとFWが誰になるのか?」、知らない人なら「才能溢れる中盤」が注目どころではないかと思う。

CBには絶対的なレギュラーと言える選手がベテランのサラーム・シャーキルしかいない。その相棒がSB兼任のアリ・バハジャートになるのか、あるいは「ランボー」の異名を取るスウェーデン育ちの巨漢DFレビン・スラカになるのか? それとも…

FWはマフムードが抜けたため、これまでフル代表では全くと言って良いほど結果を残せていない(2人でわずか2ゴールである)アムジャード・ラーディとマルワン・フサインが争う。このチャンスをどちらが生かすかも注目だ。

逆に、イラクをあまり知らない方ならば、非常に面白いメンバーが揃っている中盤に注目してもらいたい。

「イラクのメッシ」ことフマーム・タリクはまだ19歳であるが、既にA代表27試合に出場している「神童」である。

まあ、メッシとは全くタイプが違い、激しいタックルと無尽蔵の運動量を生かした情熱系のセンターハーフである。似ているのは左利きであることくらい。顔はなかなかのイケメンであり、代表初キャップとなった試合ではオウンゴールを喫して号泣したピュアな少年である。

両ウイングにはアメリカ生まれのジャスティン・ミーラム、スウェーデンで活躍するアハマド・ヤシーンが揃って来日する。両者とも勢いのあるドリブルでの仕掛けが魅力だ。

そしてボランチには英国育ちの司令塔ヤースル・カーシムが入っている。トッテナムの下部組織出身で、的確なゲームコントロールを見せてくる選手である。

今回のイラクは、彼らに対する知識量によって注目すべきところが変わってくるチームだと言えよう。

最後に指揮官のことについて少し説明を……

アジアカップ時はラディ・シャナイシル監督がチームを率いていたのだが、彼はカタールSCとの兼任であったため既に退任しており、現在はアクラム・アハマド・サルマン氏がチームを率いている。

彼はイラクリーグで25歳にして指揮官を務めた(1970年のことであるが…)という経歴があり、中東の多くのクラブチームで指揮を取ってきた経験を持つ。就任からはわずかな時間しか経っていないが、協会子飼いのコーチであり全く体制には影響がない。

3月末と4月初頭に行われたコンゴ民主共和国代表との親善試合でも、特に今までのイラクと大きな違いは感じられなかった。継続路線で進められていると考えて良いだろう。

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