現在の南野は以前に比べると裏抜けだけを狙ったり独り善がりなプレーも減り、総合的な成長は見せている。それでもやはり、U-17W杯で苦しんだように日本人選手の特徴である狭いエリアでのパスワークを得意とする選手ではない。
だが、彼にはこれまでの日本人にない絶対の武器がある。
フィールドの中央で上手くボールを運び、正確に捌きながらゴール前になると途端に力を発揮できなくなる日本人選手を我々は過去、幾度となく見てきた。そんな選手たちとは異なり、南野には天性の得点感覚に加え、ゴールに近い場所でも精度を落とさず、また、ボールに力を伝え、ふかさず枠に沈める両足での強烈なシュートがあるのだ。
現在の日本代表は2010年以来続いてきた本田圭佑を中心とした体制が、その本田の不調とともに陰りの色を見せている。しかし思い出してほしい。かつて中村俊輔を軸としたチームが停滞していた時、救世主のごとく現れたのは他でもない。いち早く海を渡り、何度も何度も挫折を味わいながら這い上がってきた本田であった。
時代は繰り返すのか。日本代表の閉そく感を打ち破るのは、端正な顔立ちの奥に想像以上の悲哀と野心を抱えたこの男かもしれない。