アビスパの若き守護神、中村航輔からの飛距離十分のロングキック一本が相手DFの裏を突き、ウェリントンの決勝ゴールを生み出したのである。
年代別日本代表のゴールマウスを守り続けてきた中村。“柏ユースの最高傑作”と言われる逸材だが、トップ昇格後は菅野孝憲の壁に阻まれ、出場機会を求めて柏時代に縁のあった井原監督率いる福岡へやってきた。
当初は神山竜一の存在に加え、小さな怪我もあってここでも出番に恵まれなかった。しかし第24節から起用され始めると、以来チームは12試合7勝3分2敗7失点と盤石の守備で中村の抜擢に合わせたように上昇気流に乗っている。現在の好調は井原監督の手腕であると同時に中村の存在も大きいのだ。
セレッソ戦も素晴らしいブロックで何度となくピンチを救った。だが目標にドイツ代表マヌエル・ノイアーを掲げるだけあり、攻撃面でも非凡な才能を披露した。
現在、五輪代表で守護神を務めてきた櫛引政敏がJ1・清水エスパルスでポジションを失っており、20歳の中村にかかる期待は大きい。監督1年目にして名将の貫録も漂い始めた井原監督と合わせて今後に注目だ。