イタリア人が揃った相関図に名を連ねた数少ない指揮官の1人が、スウェーデン人のスヴェン=ゴラン・エリクソンだ。

彼は、指揮官として得意な戦術の形があるというよりも、既存のチームが使っていたスタイルなどを受け継ぎながら強化していくことを得意としている。

また、ラツィオでセリエA制覇を成し遂げた際には、そのチームマネジメント術が評価された。選手との距離を近くする訳でもなく、恐怖政治によって遠くする訳でもない。理性的に自らの信じる理念を掲げ、チームの問題を解決し続けたマネジメント術は、高い評価を受けることになった。

Tord Grip(トルド・グリップ、スウェーデン人)はエリクソンの師でありながら、後にアシスタントマネージャーを務めるなど、相棒として彼を支えることとなった。

このエリクソンの教え子が、ロベルト・マンチーニだ。

イタリアではインテル、イングランドではマンチェスター・シティと共に国内リーグを制覇した指揮官は、そのマネジメント術において師の影響を受けている。選手達の友人としてでもなく、強面の上司としてでもなく冷静沈着に選手と接していく姿は、師を思い出させるものだ。

戦術においては、緻密な指示によって守備を強化しつつ、個人能力を生かしたカウンターを得意とする。ダビド・シルバやズラタン・イブラヒモヴィッチなど、チームの中心となる攻撃の要を軸に、チームを作り上げるのが非常に上手い監督とも言えるだろう。

マンチーニの下でアシスタントを務めたパトリック・ヴィエラはアメリカ、ニューヨーク・シティFCへ。将来のマンチェスター・シティの指揮官就任を見据え、アメリカという地で牙を研ぐこととなった。

また、マンチーニの副官としてインテルでは守備組織の担当をしていたというシニシャ・ミハイロヴィッチは現在ACミランへ。堅守速攻を得意としている彼が、現在インテルに戻った師を超えることは出来るのだろうか。

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