カーン
2005~2008年
「ポゼッション」とは、力関係が作り出すものも多い。選手の質で上回るチームが自然とボールを保持してしまう現象だ。ただ、たとえ実力で負けていてもそのスタイルを押し通すことが本来の「ポゼッション」であろう。
その意味では、フランスリーグのファンにとっては若きマテュイディを擁したトロワ、2005~2008年のカーンがあまりにも印象的な存在である。今回は後者を取り上げたい。
2005年に2部へ降格したカーン。暫定監督を務めていたフランク・デュマがパトリック・パリゾンを共同指揮官として迎え、無謀とも思えるパスサッカーを構築した。1年目は2部で最多得点を奪うも4位。2年目にシーズン65点を挙げて昇格に成功し、リーグ・アンでもいきなり11位に!
プロマン、ドゥロワン、ニヴェの3センターは、フィジカル重視のリーグの中で異彩を放つ小柄な技術系揃い。ワンタッチパスを多用した気持ちいいサッカーを繰り広げた。ヴァランシエンヌで大活躍していたスティーヴ・サヴィダンがリヨンなどの誘いを蹴って加入したことでも有名だ。
ただ、2007年をピークに調子は下降し、そのスタイルも崩壊していくのだが…(編集部K)。