SBからコンバートされた現代型CB

石井がなでしこジャパンへ選出された際、女子日本代表の高倉麻子監督は、その選出理由について、「スピード」を挙げていた。

バニーズと対戦したASハリマアルビオンのFW千葉園子は、石井とはU-23女子日本代表時代のチームメイトだ。そして石井より先に高倉監督の下で日本代表デビューを果たしている。

千葉はスピードを武器の1つとするアタッカーだが、石井について「マッチアップするのは本当にシンドイですし、とにかく足が速すぎます!私ですか?比べ物にならないぐらい速いです」と言う。

昨年、なでしこジャパンでは不動の左サイドバック鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)がセンターバックにコンバートされる機会が多かった。女子日本代表の主将を務めるDF熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)が合流できない日程だったのも確かだが、現代サッカーの流れから考えれば妥当な選択だろう。

高い位置からボールを奪いに前に出るプレッシング戦術が進化し、DFラインも高く設定されるようになった。

チーム全体をコンパクトな陣形にしてラインコントロールを密にする必要があるため、センターバックには運動量やスピードが求められるようになっているからだ。

逆に高いDFラインの裏を破るため、現代サッカーのアタッカー達にはスピードが重視されるようにもなった。トレーニングの発達によって敏捷性にも優れ、“小回り”が利くようにもなっている。

それに対応するセンターバックにもスピードが求められるのは当然の成り行きである。