――「岡田メソッド」といえば、明確な哲学を持ち世代別の日本代表で結果を残された吉武博文さんと“一体”なのではないかとファンの皆さんも感じていたのではないかと思います。その吉武さんは2018年途中にクラブを離れましたが、メソッド自体は順調に進行中だと考えてもいいのでしょうか?
矢野:試行錯誤の連続ですが、それなりに順調に進んでいます。育成世代では、次々と上位リーグに昇格しています。
吉武さんが監督を務めていた頃には「岡田メソッド」の開発とトップチームの結果というもの両方、いろんなものを背負ってやっていただいていました。しかしやはりJFL で勝ち上がるというのがそんなに簡単じゃないことが分かりました。
サッカーが新しい時代の受け皿に
――ちなみに矢野社長自身の夢というか、何かやっていきたいことみたいなものはありますか?
矢野:スタジアムのまわりに日常的な賑わいを作る、を実現することです。昔の神社とかお寺みたいなものであり、企業理念に掲げた『心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する』ための拠点です。
宮崎:今、話を聞いて改めて「はっ」と思ったんですが、昔ってお祭りの神輿があってご年配の方と若者との結節点がありましたよね。
でも、時代とともに世代交代で距離が離れて、さっきの商店街みたいに若い子がお祭りに出てこない。そうすると、新しい接点ってこういうサッカーとかスポーツなんじゃないかなと。
矢野:そうなんです。今治でも夏の夜市には今でも人が集まるんですよ。小学生が、子供が行くんですね。中学生も行くんですよ。
別にあそこに行けば何かがあるとかじゃないんです。でも行けばなんだか楽しいじゃないですか。それが今治ではまだあるんです。
商店街がほんとうに賑わうのはその夏の夜市と花火大会くらいなんですが、実は皆さんそういうものが欲しいんですよ。欲しいけど受け皿がない。おっしゃっていただいたように、その受け皿にスポーツがなれるかもしれないですね。