ロナウジーニョ

バルセロナでの成績:145試合70ゴール(2003-2008)
ブラジル代表での成績:97試合33ゴール(1999-2013)

かつてバルセロナには長い暗黒期があったが、その悪夢のような時代を独力で終わらせたのがこのロナウジーニョだ。

2002年ワールドカップで若くして母国を世界一に導いたファンタジスタは、2003年、満を持してバルセロナへ。初年度から期待に違わぬ活躍で2005年にバロンドールを獲得。翌年にはCLを制覇し、クラブに一転して黄金期をもたらすと同時に名実共に世界一の選手へと上り詰めた。

ロナウジーニョの能力が素晴らしかったことはいうまでもないが、彼には他のどんな優れた選手にもないものがあった。それは、サッカー少年たちの原点である「遊び心」に溢れていたこと。

エラシコ、ノールックパス、壁の下を通すトリッキーなフリーキックと、ピッチ上でありとあらゆる技を駆使して相手を手玉にとった。いわばサッカー選手としての彼は、結果を求めつつも観衆を喜ばせる“二刀流”であった。

(若き日のメッシとロナウジーニョ)

いま、MLBで活躍する大谷翔平は二刀流として活躍しているが、周囲からは打者か投手のどちらかに絞るべきだという声が止まない。しかし大谷にとって、二刀流であることが自分のモチベーションに繋がっているのだとも伝えられる。

ロナウジーニョはまさにそうした選手であった。時に、シンプルなプレーを信条とする同世代のカカと比較され、余分なプレーをする選手だとも言われたが、彼にとって遊び心は、サッカー選手として生きることそのものであり、また悦びであるようにも見えた。

事実ピッチの上で歯を見せる時ほど、笑顔になる時ほど彼の輝きは増した。その想像だにしないプレーの数々に、観衆は魅了され酔いしれたのである。

彼以上にサッカーの楽しさを表現することができた選手が果たしてどれほどいただろうか。そんな彼に憧れた少年少女がどれほどいただろうか。

その意味で、ロナウジーニョは歴史上でも稀にみるレジェンドであったといえるだろう。

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