最近、かつてG大阪でプレーしたFC岐阜のFW川西翔太(今季J3得点ランク首位)と先日現役を引退したMF寺田紳一に話を伺う機会があった。
G大阪時代の2人は決して主力ではなかったが、西野監督が期待をかけていた若手だった。2人は「特別なチームでした」と古巣について話してくれた。
練習時、トレーニングメニューに対して西野監督がルールや課題を加えていくのだが、特に遠藤が西野監督の意図とは異なった解釈をするようだ。
「これでもいけるんじゃない?」と監督の意図にアクセントをつけて提案するのだが、それを西野監督は「それもアリだな」と許容するのだ。これを他クラブでやってしまうと全く評価されず、逆に「そんなんできても意味ないし」と監督や他の選手からの信頼を失うことがあるそうだ。
「プレーヤーズ・ファースト」で指導にあたる西野監督らしいエピソードだが、遠藤の提案から派生し、選手達がアイデアを積み重ねたチームが当時のG大阪だった。選手が主体的にプレーするチームはワクワクするもので、この辺りが「特別なチーム」のカラクリなのだろう。
当時のG大阪は失点が多いという欠点もついていたが、たとえ試合で敗れても魅力的なサッカーを披露していた。マンチェスター・ユナイテッド戦やベルギー戦という敗戦がベストマッチになる所以だろう。
エピソードと言えば、西野監督は食事の際にカレーを無邪気に頬張り、スパゲッティにミートソースを山盛り過ぎるほどかける。そして、食事会場からホテルの部屋に戻る際には必ずバナナ2本を持って帰る。
遠征時にはトランクのスーツケースに靴を入れてしまって空港内をスリッパで歩き、「靴がなくなっちまったんだよ」と惚けるようなド天然ぶりも発揮するそうだ。誰から聞いた話なのかは伏せておきたい。