大学が安心して送り出せる制度に

児玉の加入当時の名古屋グランパスは風間八宏監督が率いていた。

風間監督は1997~2004年に桐蔭横浜大、2008~2012年に筑波大で学生選手を指導。大学生のポテンシャルや大学サッカー界の状況を理解し、コネクションもあった。

そのため同制度を難なく使いこなせたと見られている。このとき突出した戦術理解能力、ボールコントロール技術、パスセンスが光る児玉の他クラブ流出を避けるため、名古屋は早期内定に踏み切ったという。

一見リスクがある早期内定と言われるが、学生選手の本籍が大学サッカー部にある点は、選手にとって大きなメリットとなる。

川崎で指揮を執る風間監督

特別指定選手制度を活用すれば退学や退部のリスクを避けることができる。

そして同制度は2018年に指定選手の受入先クラブに、プロ選手として加入が内定している選手(契約内定選手)でなければ同制度を適用することができなくなった。

そのため、お試し的な強化指定や、クラブにとって都合のいいその場しのぎの強化指定(けが人の穴埋めなど)はできなくなった。

同制度の改定前は強化指定を受けても、クラブは選手の獲得を避けるといったケースが多発。そのため決して評判のいい制度ではなかったため、制度改定により大学側も安心してクラブへ選手を送り出せる環境となった。