“小さな魔法使い”をどう組み込むか?

リーグ戦5試合を終え、ほぼ文句なしの戦いを披露している神戸だが、不安材料もある。それはリードされた展開での仕掛け方だ。

今季ここまでのリーグ戦で唯一の黒星を喫した第4節・浦和レッズ戦。前半に先制を許す展開のなか、77分に泉柊椰を投入したタイミングで大迫勇也と武藤嘉紀の2トップへシフト。ターゲットマンの大迫にロングボールとクロスを集めたが、最後まで浦和の牙城を崩せず0-1で敗れた。

ロングボールで手数をかけずに打開したい意図は伝わったものの、一辺倒になってしまえば必然的に相手守備陣も守りやすくなる。空中戦に加えて、細かなコンビネーションを織り交ぜた崩しの必要性を感じさせた。

その意味で、神戸にはスペシャルな存在がいる。26日に行われたルヴァンカップの横浜FC戦で今季初出場を果たしたアンドレス・イニエスタだ。スペインが生んだ“小さな魔法使い”の武器である精緻なスルーパスは、相手がどれだけ守備を固めていようとも、それを無力化してしまうだけの破壊力がある。

ハードワークを軸とした現在の戦い方、そして5月に39歳となるイニエスタのコンディション面を踏まえれば、フル稼働はおそらく難しいはずだ。例えばラスト20~30分で投入し、膠着した展開を打破するジョーカーとして役割をまっとうする――。プレータイムに制限を設けつつ、攻撃面で違いを作る形が現実的な起用法となるのではないか。

イニエスタに続き、スペイン人ピボーテのセルジ・サンペールも復帰が待たれる。独特のボールタッチと配給のセンス、戦術眼を持つ彼らをうまく組み込み、スタイルを進化させたい。これからの季節、特に夏場の暑さのなかでハイプレスを持続するのはどうしても厳しいものがある。ポゼッションで“休憩”する時間帯も必要になるはずだ。

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開幕から守備陣にけが人が相次ぐなか、巧みな用兵で乗り切っている指揮官がどのような最適解を導き出すのか。2021シーズンに記録したクラブ歴代最高のリーグ戦3位を超えるために、日々のハードワークと試行錯誤は続いていく。

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