宮崎県サッカーリーグ1部に所属していたFC延岡AGATA。吉武はこの2019年に新設されたチームでプレーしながら、クラブのスポンサー企業でもある酒屋で勤務。「コロナ禍のことは全く気にしていなかった」が、アルコールを扱う店舗への世間からのバッシングは想像を絶するものがあったはずだ。
「自分は電話担当ではなかったので直接クレームを受けることはなかったですし、仕事とサッカーをする環境を与えられていることは有難いことでした。ただ、朝の7時半から夕方の17時まで倉庫の品出しや配達業務をしていると、18時半からの練習に行く頃にはいつも体力が消耗していました。特に1年目はコロナの影響で当初チームに所属していた選手が4人だけで、いつも大学のチームに練習参加するような状況だったんです。サッカーも仕事も不安だらけでした」
延岡へ加入した1年目と2年目はコロナ禍の影響で宮崎県リーグが中止。トーナメント制の代替え大会が開催されたものの、試合数が圧倒的に少ない状況下に不安は募った。
それでも2年目には有力選手が集まり、吉武を中心としたチームは九州リーグ昇格を決めた。3年目には九州リーグで2位に躍進し、「第58回全国社会人選手権大会」で3位入賞。JFL昇格を懸けた「地域チャンピオンズリーグ」出場権を獲得した。
戸田監督の秘蔵っ子的存在、Jの舞台でも主力定着
第2節の福島戦で初ゴールを挙げ、試合後に戸田監督(左)と握手する吉武選手。写真提供:SC相模原
昨年11月の地域CLでチームは1次ラウンド敗退に終わったものの、ハイレベルなプレーを披露した吉武に熱い視線を向ける人物がいた。2023シーズンから相模原を率いることが発表されていた、戸田和幸氏だ。
その連絡は意外なところから入った。