「5-4-1のコンパクトなブロック」が守備の基本

第13節を終えて、リーグ2位タイの10失点と堅守を誇る名古屋グランパス。最大の強みである守備のコンセプトは、以下の通りだ。

①自陣に5-4-1のコンパクトなブロックを形成してスペースを消す(基本)
②マンツーマンでハイプレスを仕掛ける(オプション)

まずは、①のコンパクトなブロックから見ていきたい。基本システムは3-4-2-1だが、このシステムを採用する多くのチームがそうであるように、守備時は両ウィングバックが最終ラインに、両シャドーが中盤に吸収され、5-4-1の形となる。

縦横がコンパクトな5-4-1のブロックを自陣に形成し、自ゴール前のスペースを消すことが基本的な守備の狙いとなる。ブロックを作って待ち構える形ゆえに、相手チームがボールを保持しながら自陣に侵入する機会は増える。必然的に被シュート数も多くなる(1試合あたりの被シュート数は8.92)のだが、そこで立ちはだかるのが、守護神のランゲラックだ。

在籍6シーズン目を迎えた背番号1はこれまで、数えきれないほどの好セーブでチームを救ってきた。落ち着き払った所作、経験に裏打ちされたポジショニングと判断力が光るが、193cmの長身をフルに活かした超人的なシュートストップは文字通り群を抜いている。

今シーズンもハイパフォーマンスを披露するランゲラックの凄さは、スタッツにも表れている。Jリーグ公式サイトによれば、今季のペナルティーエリア内でのシュートキャッチ率はリーグ3位の41.9%で、エリア外からのシュートセーブ率はリーグ1位の100%を記録している(※データは第13節終了時点の数値)。”最後の砦”であるランゲラックなくして、名古屋の堅守を語ることはできない。