②のマンツーマンディフェンスについては、第8節の川崎フロンターレ戦や第10節の横浜F・マリノス戦、第12節のガンバ大阪戦で見られた形だ。
横浜FM戦とG大阪戦を例に挙げると、1トップで先発した酒井宣福が守備時は中盤まで下がり、横浜FM戦ではボランチの渡辺皓太に、G大阪戦ではアンカーのネタ・ラヴィにマンマークでつき、攻撃の起点を封じた。酒井に加えて、2シャドーが相手センターバックまたはゴールキーパーに積極的なプレスをかけて、ビルドアップを分断する狙いが見て取れた。
前線からのプレスがとりわけハマった横浜FM戦後、チームを率いる長谷川健太監督は「(マンツーマンは)今回が初めてではなく、マリノスだからというのではありません。キャンプからチームに1つの戦術として落とし込んできました」と前置きしたうえで、以下のようにポイントを語っている。
「マリノスのトップ下とボランチをフリーにすると、攻撃が流れてしまうので、そこをどう断つのかがポイントでした。どのチームも研究していると思いますが、(アンデルソン)ロペスからエウベルへのラインがあるので、名古屋としてはその対策を持って、選手も理解をしてやってくれました」
基本的には5-4-1のコンパクトなブロックを自陣に形成し、自ゴール前のスペースを消すことが約束事になるが、上記の横浜FM戦のように、対戦相手の特長に応じてマンツーマンのハイプレスも仕掛ける。ランゲラックに加え、3バック一人ひとりの能力も総じて高いが、チームとして緻密な守備戦術を構築できていることが、代名詞の堅守につながっているのだ。