大雨で傷ついたいわきのために

9月には熱帯低気圧に変わった台風13号に伴う大雨の影響で、いわき市は河川の氾濫などにより1200棟以上の住宅が浸水被害を受けた。いわきは2011年3月11日の東日本大震災でも大きな被害を受けた地域であり、今回の被害で震災を思い出すなど心的ストレスを抱えた住民もいたという。それだけにいわきサポーターに支えられてきた岩渕は、サッカーでの恩返しを決意した。

――9月に入ってから3連敗を経て、ツエーゲン金沢に1-0で勝ちました。ケガして出られない選手の気持ちを背負いながら戦った試合だったと思います。

6ポイントマッチだったことや、いわきで豪雨の災害があったので、理久が怪我したこととか、いろんなことを背負わなきゃいけない部分もたくさんあった。

ただ背負いすぎると良くないと思っていたので、試合に集中して、金沢に勝つことだけを考えていました。

負けたらやばいとか、あいつのためにも頑張ろうということは一切なかったです。試合が終わったらありますけど、試合中はただ勝つことだけを考えていました。

岩渕弘人(右)とチームメイトの山口大輝

――9月の台風13号に伴う大雨によっていわき市は甚大な被害を受けました。サポーターも被害を受けた方々が多くいます。

徳島戦の前日だったんですけど、徳島に行くのもすごく大変でした。高速道路が通れなくて、電車が止まって。徳島に行くのにめちゃめちゃ時間がかかった。その行くときもいわきの町を通ったときに土砂が入って、それを片付けている人たちもいっぱいいる中だった。

すごく大変な状況だと分かっていたし、「そんな中でサッカーをするのかな」と少し考えました。だけど自分たちにできることは、サッカーでいい報告をすることだけなので。

試合になったらそれしか考えてなかったです。少しずつ最近は入場者数も増えて、いわきを応援する方々も増えています。勝っていい報告をしたいと毎試合思っています。