先月25日のJ1第33節ヴィッセル神戸対名古屋グランパス戦で、神戸が2-1で勝利してJ1初優勝を達成した。今季22得点でリーグ得点王を勝ち取ったFW大迫勇也、10得点10アシストを記録したFW武藤嘉紀らの活躍が目立つが、複数の守備ポジションを難なくこなし、優れた身体能力で最終ラインを支えた男がいる。
―その男の名は本多勇喜。この男の活躍がなければ神戸のリーグ初制覇は成し得なかった。前クラブでは契約満了、記録的大敗なども経験するなど前途多難な道を歩んできた万能型ディフェンダーのキャリアを紹介する。
複数ポジションをこなすグラディエーター
今季から神戸に加入した本多は攻守において存在感を見せつけた。今季は主に左センターバックに入り、DF初瀬亮との緻密なビルドアップ、機を見た左足からのロングフィードで後方からチャンスを演出し、守れば優れた身体能力を生かした跳躍力、鋭いタックル、粘り強いマークなどで強力な外国籍FWとも渡り合った。
負傷者が多く出たチーム状況の中で、センターバックの枚数が少ない場合はセンターバックに入り、サイドバックの枚数が欠ければ左サイドバックに入ってチームの穴を埋めるなど複数ポジションを難なくこなすポリバレントな才能を生かしてチームの窮地(きゅうち)を救ってきた。
今季の活躍により2023年のJリーグ優秀選手賞に選出された。今季は29試合に先発出場した神戸リーグ制覇の立役者だが、加入当初の期待値は高いものではなかった。前所属の京都サンガでは多くの苦労を経験したこともあり、神戸サポーターからも不安視されていた。