目を向けるべき「トップレベルの人々による真摯な仕事」

EURO開幕を直前に控えた先週、セルビアのスポーツメディアで働く知人から連絡が入った。

「ミキコ、いつドイツに出発するんだい?撮影に行くんだろ?画像提供してくれよ!」と。

いぶし銀プレーのドゥシャン・タディッチ(キプロスにて2024.03.25撮影)

結論から言うと、私は今回、ドイツには行かない。

セルビアサッカー協会の裁量で取材パスが出るEURO予選とは違い、ドイツで行われる本戦はUEFAに直接取材申請をすることになる。フリーランスフォトグラファーの身分で取材パスを取得するためには、乗り越えなければならない書類のハードルが山のようにある。

手持ちのコネクションをフル稼働して関係各所に掛け合ったが、結局申請の締め切りには間に合わなかった。

フィリップ・コスティッチ(ユヴェントス所属)

セルビアのEURO初戦の相手はイングランド。この試合、政治的また人種差別的な意味合いで、暴動が起きるリスクが高い試合として警戒されている。前回、2020年のEURO決勝でPKを外したイングランド選手への侮辱的な出来事などを考慮しての措置である。試合がこのような形で注目されてしまうことを、残念に思う。

選手はもちろんスタッフも我々フォトグラファーも、このピッチに立つことが許されるのはトップレベルの人間だけであり、みな目の前の仕事に真摯に向き合っている。そこに政治的な色を付けてしまうのは、見ている観客、報道するメディア、またピッチには立たないVIP席の重鎮たちであろう。

セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(アル・ヒラル所属)

グループステージ突破を目指し、「初出場」セルビアのEURO2024が始まる。選手たちの美しいプレーが純粋に報道されるよう、祈る日々である。

EURO2024、「ファンがヤバい試合」の暴動対策が話題…ビールのアルコール度数を4.8%から2.5%に下げる!

16日夜に行われるセルビア代表対イングランド代表の試合は、ドイツの当局から「安全性に懸念がある」と警戒されている。会場となるゲルゼンキルヒェンの広場では飲酒自体が禁止され、スタジアムで提供されるビールのアルコール度数も3%以下に制限されるという。

EURO本戦においても様々なピッチ外の話題に囲まれているセルビア。そのような雑音に振り回されることなく、石川美紀子さんの願い通りに彼らはグループステージを突破することができるだろうか。

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