欧州サッカーの祭典「EURO2024」は激戦のグループステージが終わり、いよいよ負ければ終わりのノックアウトステージが日本時間6月29日(土)深夜から幕を開ける。

同大会を放送・配信するWOWOWは、ノックアウトステージも全15試合を日本語実況・解説つきで生中継する。

「ワールドカップよりもグループステージ突破が難しい大会かもしれない」と、各国のレベルの高さに舌を巻いたのは、WOWOWで解説を務める坪井慶介氏。

元日本代表でW杯にも出場した坪井氏の目に、今大会はどのように映っているのかー。決勝トーナメントの展望とあわせてWOWOWが実施したインタビューを紹介する。

スペインとドイツは頭一つ抜けている印象

――グループステージ(GS)全体の印象は?

W杯でもそうですが、どの国もGSは苦労するんだなと感じました。スムーズに勝ち上がっているのはスペインとドイツ、ポルトガルぐらいで、あとはどの国も苦労している印象があります。

もしかしたらW杯よりもGS突破が難しいと言える大会かもしれません。強豪国と呼ばれる国以外のチームでも非常に良いサッカーをしていると思います。そういう意味で、GS突破はやはり厳しいものだなと感じました。

優勝候補にも挙げられるイングランドには、メンバーは良いけどいつも苦戦する印象がありました。今大会もここまでは難しい状況にあるなと感じます。

メンバーを見れば見るほど、とんでもないチームだと思っていましたが、蓋を開けてみると“おやおや?”という印象が正直なところです。良い選手が集まるだけでは勝てないというサッカーの面白さを感じます。

――改めてポテンシャルの高さを感じた国は?

スペインとドイツは、選手層もそうですが、戦術的にも4-3-3、あるいは4-2-3-1で洗練されている印象です。

ボールポゼッションはもちろんですが、ボールを奪ってからも速い。中も外も使える。なんでも出来るチームだなという印象です。

選手層とやっているサッカーは頭一つ抜けていると感じていますし、順調にいけば準々決勝で両国が当たってしまうのはもったいないですね。

また、ポルトガルは個人的に注目している国の一つです。若くて良い選手もたくさんいますが、ぺぺ(ポルト/41歳)など、同世代の選手が活躍している点も注目している理由の一つです。

クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)も39歳ですよね。その年齢でトップレベルで活躍しているのは本当にすごいことです。個が強すぎるゆえにチームとしては上手くいかない可能性もある中で、ちゃんと結果を出してきている点は素晴らしいなと思います。

ある記事で、ジョアン・カンセロ(バルセロナ)が「(ロナウドは)ピークを過ぎているけど、色々な意味で影響力があるし、チームのために戦っているから代表でもできるんだ」といった趣旨の発言をしていました。若い選手が“彼はピークを過ぎている”と言えている環境は良いことだと思います。

僕はチームが結果を出していく上では、必ず経験豊富な選手が必要だと思っています。一方で、若い選手が育っていかないとチームのサイクルは回っていきません。そこをどれだけ上手くやるかが監督の仕事だと思っています。

僕自身、自分では(ベテランとしての振る舞いが)出来ていると思っていても、周りから見るとそうじゃないといったジレンマを感じていた時期がありました。ポルトガルの状態を見る限り、そういう意味でもとてもいい状態にあるんだろうなと感じます。