――伊東純也選手は、やはりインパクトがありましたか?

対戦したときは(自分の)背後のケアとかを常に気にしていました。4バックだったら自分一人だけラインを下げていることも全然ありました。

やっぱり伊東選手とマッチアップするためには距離を開けないと。並んで背後に行かれたら負けるというのはありましたから。そこはセンターバックとかにも一番言っていましたね。「自分のラインに合わせて」と(笑)。

“出し手”にいつも伝える 「使いたいと思ったら使えばいい」

――サッカーキャリアにおいて「監督が求めるプレー」をすることを徹底してきたとガンバ大阪時代のインタビューで話されていました。

それは一番心掛けています。監督が求めるもの。それに応えられないとやっぱり試合にも出られないですし、確実に使ってもらえないというのは思っていました。だから、まずは監督が言うことをやりながら、プラスアルファで自分の持ち味などを出す。

まずは求めることをやらないと。そこに反抗するというのはやっぱり良くないというか、実際そういう選手も見てきたので。そうなるとやっぱり、監督批判ではないですけど、監督としても自分が求めることをやらなかったら使えない。そうなると思うのでそこだけは心掛けてきました。

――徹底するようになったきっかけはあったんでしょうか?

本当に昔から、小中高大と言われていたことはまずやっていたかな。それがプロでも生きていたのかなと思います。

――サイドバックは走っても使ってもらえなかったりすることが多々あるポジションです。藤春選手はそのあたり、出し手とのコミュニケーションに関してどういうところを意識しています?

いつもサイドハーフの選手に言うのは…だいたいサイドサーフの横をオーバーラップするじゃないですか。だから「別に出しても出さなくても全然いい。ボールを持っている人の判断やから。俺がまわっても、使いたいと思ったら使えばいいし、使いたくないと思えば、自分を利用して中にカットインしてシュートして」といったことは常に言っています。「使わなくても俺は全然怒らないし、文句も言わないから。ボールを持っている人の判断に全然任せるから」と。

だから「出せよ!」みたいな感じには全然…そう思うくらいなら、自分の中では早く守備のポジションに戻れという風にはしてきましたね。今までずっと。

――前の選手にとってはそう言ってもらえると気が楽になりますね。

多分そうやと思います。(外を)まわるからといって使わないといけないとは全然思わんといてと言っていたので。サイドハーフがやりやすいようには心掛けていました。

――藤春選手は日本代表でもヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとで3試合にプレーされました(2015~2016年)。ハリルホジッチ監督がサイドバックに求めたことは何でした?

まさにそのオーバーラップ。「どんどんまわれ」と。当時たぶん自分自身も一番オーバーラップしていたんじゃないかと思うくらいやっていたので。それをもうどんどん求められていました。

――とにかく行け、と。

はい、「行け」って。「オーバーラップしろ」って。サイドチェンジすると分かっている…サイドハーフにボールが入るなという瞬間には「行け」というのは要求されていましたね。

――藤春選手が感じるサイドバックの面白さは?

ポジションとしては守備なんですけど、守備のことをしっかりしながら良いタイミングがあればオーバーラップしてという。やっぱり3人目の動きで裏、背後がとれたらすごく気持ちいいです。

ガンバでやっていた時は本当に倉田(秋)選手からヤットさん(遠藤保仁)に落として、ヤットさんがワンタッチで背後にという。自分の中で描いた通りに、走って、まさにパスが出てきてということできていました。

日本代表、3バックへのシステム変更により「序列を下げた」5名

その楽しさがあるから本当にサイドバックはやめられない気持ちがあります。DFの中では一番攻撃にも絡めるのがサイドバックだと思うので、そういう気持ちよく崩せたりしてアシストできる。それがサイドバックの一番楽しさかなと思います。

9月27日(金)配信予定のインタビュー後編では、ガンバ大阪入団やサイドバックにとっての遠藤保仁、伝説となった2015年CS浦和レッズ戦での「丹羽大輝オウンゴール未遂」からの劇的決勝弾、さらにはオーバーエイジとして出場したリオデジャネイロ五輪、コロンビア戦でのオウンゴールなどについて聞いているので、こちらもお楽しみに。

藤春廣輝

1988年11月28日生まれ(35歳)
FC琉球所属

明治安田J3リーグ第30節
FC琉球 vs FC大阪 @タピック県総ひやごんスタジアム
9月28日(土)18時キックオフ!

【厳選Qoly】日本代表入りのためには「移籍が必要」…海外クラブの主力日本人選手5名