――長くチャンピオンズリーグを見てきて、どのような変化を感じていますか?
実力差が詰まってきていると思います。
以前はグループステージで大敗するチームも目立っていましたが最近は少なくなりましたし、トップのレベルが上がる一方で下のクラブもどんどん力をつけています。特に最初の3節くらいはいわゆる楽なゲームがほとんどないですね。
あと、選手の「UCLに出たい」という気持ちが以前より強くなっている印象です。UCLは毎年行われますが、選手たちと話していても下手をするとワールドカップより意欲が強いかもしれない。
やはり“世界選抜”を組めるのはUCLなので、監督のマネジメントや浸透度、質が問われる分、毎年変化しているように見えます。
――今シーズンのUCL、優勝するのはズバリどこですか!?
難しいですね。絶対に当たらないもん(笑)。
まあ、シティにしたいですかね。バルサで獲ってからもう8年も経っていますし、複数のクラブでビッグイヤーを掲げている監督は何人もいますから、ペップももうそろそろという感じがします。
――スペイン勢で一番上位に来そうなクラブは?
グリーズマンが引き抜かれても、アトレティコは相変わらずアトレティコです。それだけディエゴ・シメオネの存在が大きい。
UCLとUELでそれぞれ1回ずつ、アトレティコが出場したファイナルを現地で見ていますが、彼らは決勝前日でも通常通りの練習をやっていました。
90分のフルメニュー。レアル・マドリーなどはボール回ししかやっていないんですが、アトレティコはたとえばショートダッシュでコーチのオスカル・オルテガ(※プロフェッサーの愛称で知られるフィットネスコーチ)が「アップの走り方がおかしい」と指摘し、高校のようにアップのやり直しを命じたりしている(笑)。
華はあまりないですが、アトレティコのようなチームがバルサとレアルの上へ行くシーズンがあってもいいかなと。
バルセロナはメッシとスアレスの怪我も心配ですが、最近気になるのはセルヒオ・ブスケツ。どうもプレーに波があって、良いプレーがある一方で彼らしくないミスも見られます。
ずっとクラブを支えてきたピケ、ブスケツ、イニエスタ、メッシという縦のラインからイニエスタが抜け、ブスケツもやや不安定。アルトゥールなど新しい選手がそこを担うことができるようになればまた違う強さが出てくるように感じます。
ただ、少し前にバルサを分析するため彼らの試合を何十試合も見たんですが、攻撃が停滞したときにそれを打開しているのはやはり6~7割がメッシでした。
ここは絶対にボールを奪われるという場面でも、メッシだから奪われていない。決定機も同様で、彼だから当たり前のようにゴールを決めます。ラストパスではないパスを自力でラストパスにするメッシがいるから成立している部分がバルサには間違いなくあると思います。
レアルに関しては…まあよく分からないチームです(笑)。