だが高校最終学年で奮闘するもトップチーム昇格を果たせなかった。進路を考えていた矢先、ある試合で粟野は衝撃を受けた。仙台大との練習試合で0-9と大敗したのだ。「これはやばいなと思いましたよ。仙台大に強いイメージがなかったので、これは強すぎる」と目を丸くしたという。

進学先と見定めていた関東学生リーグ1部のチームに練習参加したが、不合格に終わった。「関東2部のチームに行くなら仙台大に進学すると決めていました」と衝撃の大敗を喫した大学へ進学した。

仙台大学時代、松尾佑介や嵯峨理久との出会い

大学入学後は衝撃の連続だった。今冬にJ1浦和レッズからベルギー1部KVCウェステルローへと期限付き移籍したスピードスターMF松尾佑介が在籍していた。大学時代はJ2横浜FCの特別指定選手として21試合6得点5アシストでJ1昇格に貢献。「松くんは一緒にいても真似できないと思いました(笑)。スーパーなのは分かっていたけど、プロへ行って改めてすごいと思いました」と振り返った。

昨年の全日本大学選手権3回戦国士舘大戦では、後輩の応援のため松尾が会場に駆け付けた。久々の再会に「雰囲気がスターのオーラがあったのですごいなと思いました」とツーショット写真を撮影するなど交流したという。

そして、いまも背中を追い続ける先輩にも出会った。昨季J3ベストイレブンに輝いたMF嵯峨理久(J2いわきFC)とは大学時代に切磋琢磨した。「1年のころから理久くんに面倒を見てもらっていて、一緒に自主練もしました」。常に全力で練習に取り組む嵯峨の姿勢に「こういう人がプロになるんだと思いました」と憧れを抱いていた。

4年次に福島ユナイテッドで特別指定された際、ピッチ上で偉大な先輩と再会を果たした。昨季J3第8節いわきFCとの福島ダービーで対戦するも、0-1で惜敗した。「一緒のピッチで先輩と戦えてうれしかったです。また戦いです。僕らがJ2に行ったら喜んでくれると思う」と笑みを浮かべた。プロになっても偉ぶらず、気さくに声をかけてくれた先輩の謙虚な姿勢に感嘆したという。