プロデビューを果たすも出場した10試合の内、途中出場が7試合だった。プロで生き残るため、試行錯誤を繰り返している。
プロになって不慣れなボランチを任されるようになったが「いままでシャドーをやってきたので、今年からボランチになって見える景色が変わりました。トップ下ならこうすればこうできるってイメージはありますけど、ボランチは景色も違って受ける位置が変わります。課題は中盤の底でのゲームメイクなので、周りとの関係が大切です。まずは気が利く選手になって、守備は一人目から激しくいけるようにしたい」。繊細なプレー感覚を持つ粟野にとって、異なる位置でのプレーは苦労が絶えなかった。
それでも前を向いて努力を続け、憧れの選手からヒントを得た。
「小さいころから見続けてきた香川真司選手のように間で受けて、ターンしてスルーパスを決めて、(ゲーム)作りにも参加できるようにしたいです。イメージは香川選手がボランチをやっている感じです。ゴール前では自分の強みを生かして、中盤の低い位置でも良さを出してボールに触ってテンポを作っていきたいです」
デビュー戦のようにハイテンポを作り出すプレーを洗練する構えだ。粟野は自身と同じ中盤の底からリズムを作って攻撃を活性化させるJ1横浜F・マリノスMF渡辺皓太、イタリア1部SSCナポリMFスタニスラフ・ロボツカを見本としている。「渡辺選手のように気が利くポジショニングを取るプレーや、中盤から飛び出すプレーは相手も捕まえづらくなります。ロボツカは中盤からドリブルで入るプレーが印象的です。それをするために運動量をつけていきたいです」。さらなる成長のためにトッププロ選手の動きを見て学んでいる。
プロを経験して大きく成長した粟野。大学では視野を広げる経験ができた。
「仙台大でサッカーをやれて良かったと思っています。まず大学はサッカーだけじゃありませんでした。高校はサッカーだけやっていたからサッカーだけの人生になっていたかもしれない。だから違う視野をもらえました。人とのつながりも多くなるし、大学生は時間があるから遊びからも学べました。僕はアウトドアが好きなので、キャンプとか山登りを経験して、サッカーだけじゃない視点になりました」
幅広い視野を得て、人として成長した。