今回のコラムでは、前半でESPN、FourFourTwo、Guardianなど各紙に寄稿するマイケル・コックス(Michael Cox)氏の日本代表に対する記事を紹介し、後半では筆者の展望へと繋げていきたいと思う。

筆者はこのコックス氏について、欧州でフットボール記事を書かれている中でも戦術分析において非常にレベルの高い記者だと考えており、実際現在W杯の出場国全ての記事を書いているのだが、それは欧州のジャーナリスト界隈でも評価が高い。では、早速始めるとしよう。

守備的なフットボールのトレンドを壊す国

コックス氏は、日本代表を「つまらない守備的サッカーに支配されるかもしれないW杯において、レベルの高い中盤を生かした魅力的な攻撃サッカーを提供する可能性のある国」と表現している。勿論のように守備の弱みにも触れる一方で、日本代表の中核は数年に渡ってレギュラーとして君臨する遠藤・長谷部という中盤によるコントロール能力にあると述べた。

また、非常に良く日本の状況を調べており、「エネルギーが必要な時には中盤に山口、そしてクリエイティブな攻撃を見せる際には清武を起用する」と、ベンチの選手にも言及している。さらに、彼は岡崎を高く評価しており、「清武がテクニック面で上でも、日本の得点力不足を解消するエースが右サイドで先発するだろう。ハードワークを厭わず、バルセロナのペドロ・ロドリゲスのような内側のぺネトレイトを武器とする」と賞賛している。攻撃でのオプションは大迫の状態によって変わり、柿谷の起用、岡崎や本田の前線起用もあるだろうというのが彼の予想だ。

守備においては厳しく、「吉田は予測能力の高さが武器だが、空中戦における弱さがある。今野は組み立てに絡む能力の高さでは評価出来るが、指示能力が足りていないことで上手く周りを指揮出来ない」と断言している。内田と長友のサイドバックは両者とも攻撃で素晴らしいという評価だが、守備面ではほとんど言及がないように、全体的な守備の弱さは日本国内でも話題になるように大きな問題だろう。最終的には「素晴らしいチームである。しかし、サッカーがペナルティエリアでチャンスを作りだすだけのゲームであれば確実に世界でも戦えるが、ゲームを支配しても恐らくそれに見合った結果は得られない」と締めくくっている。

Jリーグで絶好調の大久保やCBのレギュラーとして本番は先発が予測される森重といった部分はプレビューでは触れられていない。とはいえ、ここまで日本代表をきっちりと細部まで分析している記事は少なく、他の海外から見た日本代表の記事と比べても質であれば高い部類に入るだろう。

Japan: good between the boxes | Zonal Marking
http://www.zonalmarking.net/2014/06/09/japan-good-between-the-boxes/

【次項】「強度の差」