凱さんは青森山田高時代FWのポジションでプレーしていたが、同期に全国選手権とインターハイで得点王に輝いたFW鳴海彰人やJ3ヴァンラーレ八戸FW佐々木快との激しいポジション争いを強いられた。

「彰人だったらスピードもあるし、快なら高さがあった。比べたら身体能力は自分の方が確実に低い。キックは自信があったけど、格段に足が速いわけではないし、体力があるわけでもない」と当時を振り返った。

高3次は主にセカンドチームで過ごし、負傷の影響で最後の選手権はマネージャーに回って裏方の仕事をするなど、苦しい時間を過ごすことが多かった。

「何か他の人にずば抜けて勝てるプレーは何だろうと考えたとき、自分には正直キックしかないと認識していた。そしたら動きだしの部分や、相手が背負わないプレーのアドバイスを(黒田監督から)もらいました。

具体的にどこを意識したほうがいいか。オフザボールの時の動きだしや動き方、チームにフィットするための動き方を教えてもらえました」

最終的に高円宮杯 JFA U-18プリンスリーグ東北では6得点を挙げた。

黒田監督のアドバイスで飛躍した選手は数多くいる。壁に当たっている選手にはしっかりと手を差し伸べる姿勢に、未だに多くのOBが謝意を示している。

そして父としての一面も明らかになった。黒田家にはトイプードルとタイニープードルを計2頭飼っており、ワンちゃんの前では黒田監督も笑顔を絶やさないという。

「主従関係じゃないですけど、なつき方が犬の中でも一番上にいるのは絶対に父だと思う。小さい子供たちにもフレンドリーに接していますね。サッカー以外では普通のお父さんだと思います」とほほ笑む。

オフには凱さんとアウトドア好きな名将はキャンプでバーベキューや海釣りを楽しむシーンもあったという。