「1699億円」の妥当性

そして12月27日、読売新聞は新国立競技場の総工費が1699億円で確定したと報じました。予算編成を進めていた財務省が文科省と合意したもので、本体工事費は現国立解体費の67億円を含めて1462億円、周辺整備費は237億円です。見直し時点では1852億円でしたが、12月24日の時点で下村五輪相は1700億円前後までの圧縮と、500億円程度の都負担受け入れを示唆していました。

ただし、この27日に行われたヒアリングで、自民党PT側は「資材高騰を考慮しても工事費は1388億円まで、これで国・都の負担分やtoto助成額を確定させ、『JSCの火事場泥棒のような引っ越しも28億円を上限』」と釘を差し、635台が必要とされる駐車場も都条例緩和での削減を求めました。また、1984年のロサンゼルス五輪に出場し、その後はプロレスでも活躍した馳浩が自民党の東京オリンピック・パラリンピック実施本部長として視察したアテネ五輪(2004年)施設の現状から、IOCやFIFA(国際サッカー連盟)による「スタジアムに関する要求は正当なものと言えるだろうか」という疑問を投げかけています。

河野太郎公式ブログ「ごまめの歯ぎしり」

2013年12月27日付「新国立競技場の予算上限は1300億円」
http://www.taro.org/2013/12/post-1430.php

自民党内での孤立が進んでいる河野が「1388億円上限打ち止め」を唱えてもどこまで支持されるかは全く不明ですが、基本姿勢としてはこちらの意見を支持したいです。「オリンピック後にどう活用できるのかを考えたうえでの施設整備でなければならない」ですし、「オリンピックができればよいというだけではだめ」なはずです。

ただ、「日本が中心になって、IOC、FIFAの要求を改善させる必要がある」としても、それがどこまで実現できるでしょう。しかも、大会招致に手を挙げていない段階ならまだしも、2020年はこういう計画で五輪を開くと約束して決定させた後に変更を求めるというのは、どこまで説得力を持つでしょうか。具体的な成算無しで「屋根不要論」を言い出した槇やその支持者をさらに頑なにさせる可能性も感じます。

また、既に仙台などの被災地では人件費・資材費の高騰を理由に、復興公共事業での入札不調が相次いでいるというニュースを見ると、1699億円ですらかなり危ういし、ある程度の超過は容認せざるを得ないのではとも考えています。

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