冴えわたる指揮官の采配

躍進するチームを構築し、日々成長させている立役者は、就任4年目を迎えた片野坂知宏監督だ。

ペトロヴィッチ監督(現・北海道コンサドーレ札幌)に影響を受けた指揮官が標榜するのは、最終ラインからのパスワークをベースとした攻撃的なサッカー。ビルドアップで特筆すべきは、GK高木のポジショニングである。リベロの鈴木と同じ位置まで移動してパス回しに関与し、時にハーフウェーライン付近まで進出することもあるのだ。

ビルドアップのパターンは2つあり、ボランチの島川が最終ラインに落ちて4バックを形成。そこに高木も加わり、「5-1-5」という形でポゼッションをする。あるいはダブルボランチはそのままに、3バック+高木でボールを回す「4-2-5」という形だ。

相手のプレスや布陣に応じてビルドアップの形を変えることで、相手を惑わせることができている。

そして、選手起用にも指揮官の色が出ている。昨季の中盤戦から終盤戦にかけて那須川将大(現・松本山雅)、國分伸太郎(現・ギラヴァンツ北九州)、前田ら出場機会に恵まれていなかった選手たちを次々に抜擢してチームに変化をもたらしたように、メンバー全員を戦力として計算し、チーム力に昇華させる手腕は素晴らしい。

今季もヴァンフォーレ甲府から獲得した島川が7節のベガルタ仙台戦からポジションを掴んでおり、タイミングを見た用兵は健在。シーズンが進むにつれ、どのようにスタメンが変化していくか注目だ。