過酷な状況下でもプロを続ける難しさ
シーズン終盤での大ケガからの契約満了。想像を絶する状況下で山田が屈することはなかった。プロサッカー選手は「明日ケガをして引退するかもしれない」というリスクと隣り合わせの職業だ。来月36歳を迎える背番号24にプロを続ける難しさを尋ねた。
――絶望的な状況からチャンスをつかみました。プロを続けることはすごく過酷ですね。
見ている人は見ているんですね。どの監督とは言わないですけど、ある監督が「20代までは身体能力でできる。でも30歳を超えてからは人間性がないと続けられない」と言われました。ベテランでやっている選手はそう思う選手ばかりですし、人間ができてないとそこまで続けられないと感じています。続けることはなかなか難しいです。
トライアウトで名刺を配った方で、名刺交換というか、そういったことをできることが素晴らしいとSNSに書かれていました。
Jリーガーとか云々じゃなく、一人の人間として、一人の男として、家族が路頭に迷うかもしれない状況で行動しなかったら正直男じゃないというか。大黒柱なのでなんとかしないといけない。家族の支えもあったんですけど、プライドとかそんなもんじゃなくて、一人の男として生きざまを見せないといけない。
なんとしても食らい付いてサッカーを続けたい、行動しないといけない。(名刺交換は)そういうところから生まれた行動だと思います。
――今年で36歳になります。この年齢で現役プロとして続けることは並大抵ではありません。
ここまで続けた中で、いろんなことに対して「負けたくない」という気持ちが強かった。自分にも、周りにも、対戦相手にもです。いろんなところで負けたくない、負けず嫌いが勝ってここまで続けていると思います。
独り身じゃなくなってからは、自分だけのためじゃなく家族のため。年を取るにつれて、チームのため、応援してくれる人のため、そういった方向になっていまの自分があると思う。
このチームに入ってからは、応援してくれる人たちのために「自分はなにができるのか」と行動しています。自分がいざサッカーを続けられないと痛感したとき、このチームが僕を救ってくれました。このチームに対しての恩返しというところで、チームを応援してくれる、自分を応援してくれる人に対してどれだけのことができるのかと考えています。
秋田ではできなかったこと(競技以外の地域貢献やファンサービスなど)を、このチームでいろんなことをやらせてもらっています。そういったやりがいは昔よりも出てきていると感じています。
プレーに関しては昔同様負けたくない。どのチームにも負けたくない。自チームでも負けたくない。自分にも負けたくない。そういった気持ちが強いです。
このチームでやっている以上、もう一度J3のシャーレを掲げたい。その思いはまだまだ消えていません。